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機能的【立甲】には4種類の「肩甲骨を立てる」ポジションが存在する

▼8月8日(土)にトークイベントを開催します。
※動画でも視聴できます。

タイトル【「4つの支持軸理論」が身体を自由に変える】
「本を読んでも、DVDを観ても、セミナーを受けても“なぜ”できるようにならないのか?」その理由に答えます‼

本記事で触れた4種類の「立甲」の大前提となる「4つの支持軸」と「体幹・肩甲骨」の関係性についてご紹介する予定です。

「立甲」とは?

「立甲」とは肩甲骨を背中側で立てる動作もしくはその状態を言います。

▼のよう画像のようなものです。

WEBで検索すると多数のこのような四つんばい姿勢(四つ足姿勢)での画像や動画が出てきます。

但し、こうした腕を地面や何かに触れた状態で肩甲骨を立てることができてもパフォーマンス向上にはあまり寄与しません。

なぜ4つんばいで行うのか?

「立甲」をなぜ4つんばいで行うかと言えば、体重を腕にかけることで身体が開発していなくても「立甲」が体験できるからです。

特に身体が柔らかい体質の人(これは「脱力」が深まっているのではなく筋肉や関節が単に柔らかいという体質)はその場でできてしまうケースもあります。

「ロルフィング®︎のたちばな」では、これをパフォーマンスに直結する「機能的立甲」に対して見た目だけの立甲ということで「形態的立甲」と呼んでいます。

ロルフィング®︎のセッションで

「肩甲骨を立てること(立甲)ができると何か良いことがあるんですか?

とロルフィング®︎を受けに来られる前に努力して「形態的立甲」を身につけられた方から聞かれることがあります。

つまり、「形態的立甲」ができるようになってもパフォーマンスが向上する実感がないのです

実際に、機能の評価をしても「機能的立甲」では無いと判定されます。

「形態的立甲」は意味がありません。

「身体の開発が進んでいる」という誤解や自己満足を産む分、害の方が大きいかもしれません。

ゼロ・ポジション

「機能的立甲」は肩甲骨(肩甲棘)と上腕骨が一直線になる「ゼロ・ポジション」で腕を使えるようにするのが目的の一つです。

それが一般的には「背中側で肩甲骨が立つと何かすごいのではないか」という期待もあり、興味を持たれていますが実際には宴会芸になってしまっています。

重要なことは体重で荷重しなくとも肩甲骨と上腕骨が繋がり(ゼロ・ポジション)が当たり前に取れることです。

そして実際にスポーツやダンス、武術のパフォーマンスに直結させるには「ゼロ・ポジション」だけでは不十分です。

体幹と肩甲骨の使い方が非常に重要になってきます。

体幹と肩甲骨の「分離」と「連結」

ここで「4つの支持軸理論」が関係してきます。

実は、「立甲」は4パターン存在するのです。

これは「動作」と「体幹と肩甲骨」の関係性による為です。

「4つの支持軸理論」には、主導操作系の概念があり▼の2つがあります。

⚫︎末端主導体幹操作(「内側軸(1軸)」)
⚫︎体幹主導末端操作(「中間内軸(2軸)」「中間外軸(3軸)」「外側軸(4軸)」)

「末端主導体幹操作」は手足を起点にして結果的に体幹をコントロールする身体使いであり、「体幹主導末端操作」は体幹を起点にして結果的に手足をコントロールする身体使いになります。

末端起点と体幹起点の動作では、必要な体幹と肩甲骨の関係性が変わります。

「末端主導体幹操作」では体幹と肩甲骨の関係性は「分離」である必要があり、「体幹主導末端操作」では体幹と肩甲骨の関係性は「連結」でなければいけません。

この体幹と肩甲骨の関係性には「分離」と「連結」があり、更に前側と後ろ側の2種類あります。

その為に「立甲」には厳密的には計4種類のポジションが存在することとなります。

体幹と肩甲骨の「分離」

体幹と肩甲骨が「分離」した状態とは「脱力」とはまた異なった考え方になります。

「ロルフィング®︎のたちばな」では「肩関節の抜き」と呼んでいます。

これは少し特殊なポジションになりますが、例を示すと▼画像の右肩のポジション(ばってん少女隊:希山愛さん)です。

一見何気ないポジションですがこのポジションでは体幹と肩甲骨が分離されています。

右側の画像の緑色丸が前方に抜けるポジションの為に上腕骨が解放されます。

▼はより「肩関節の抜き」が見えやすい画像です。

通常、腕をこのように持ち上げると肩の付け根は上方に行くものですが、「肩関節の抜き」ができると逆に下側に移動します。

「肩関節の抜き」には前と後ろがありますが、この両方を身につけた動きが▼になります。

こうした動作は「立甲」ほどわかりやすく無く、見抜くにはそれなりの経験と見るスキルが必要になります。

逆に言えば、「肩関節の抜き」が世間に認知されていないのは見抜くことが難しいからとなります。

但し、パフォーマンスを考えると非常に重要な視点です。

この「分離」の「肩関節の抜き」は4の支持軸の中の「内側軸(1軸)」で主に機能します。

体幹と肩甲骨の「連結」

体幹と肩甲骨の「連結」は「分離」よりも大分理解がしやすくなります。

▼画像(『伊藤式胴体トレーニング「胴体力」入門』p160より)の肩を前方、後方に回すことの2種類で「連結」ポジションになります。

前方が「中間外軸(3軸)」、後方は「中間内軸(2軸)「外側軸(4軸)」で機能します。

ちなみに▲右画像ではこの動作を利用して男性を投げていますがこれは「中間外軸(3軸)」を活用していると推測されます。

実際に「中間外軸(3軸)」を身体に通すとこうしたデモンストレーションは簡単にできてしまいます。

逆に体幹と肩甲骨の「分離」が必要な「内側軸(1軸)」では運動構造的にできません。できたとしても必要以上に労力と時間を要することになります。

4種類の「立甲」ポジション

体幹と肩甲骨の「分離」と「連結」はそれぞれ前・後の2種類あり、これらを活用した「立甲」は計4種類あるということになります。

それぞれの「立甲」ポジションには特徴があり、各支持軸との相性があります。

下記は支持軸と相性の良い「立甲」ポジションです。

①内側軸(1軸)

「分離」の前と後ろ

②中間内軸(2軸)

「連結」の後ろ

③中間外軸(3軸)

「連結」の前、「分離」の前(※ギアを上げた場合)

④外側軸(4軸)

「連結」の後ろ

みていただくとわかるように4種類の「立甲」ポジションは4つの支持軸と一対一の関係性ではありません。

「中間外軸(3軸)」がイレギュラーな存在で、通常は「連結」の前のみですが、支持軸を強化するギアを1つ上げることで「分離」の前でも機能することになります。

確認方法

こうした4種類の「立甲」ポジションと「4つの支持軸」の相性についてですが簡単に確認することができます。

合気上げなどで「合気現象が生じるか?」が面白いですがこれには支持軸を使いこなすという前提条件があるので今回は横に置いておきます。

パートナーに両手首を持ってもらった状態でパートナーを「力づく」で押せるかどうかで相性を判定できます。

上記の組み合わせ以外では不思議なことに全く押せなくなります。

理由としては

⚫︎「主導操作系」の運動構造の違い
⚫︎「知覚の流れ」の違い(今回は説明していません)

などの明確な根拠が存在します。

押せた時の感覚としては地面の力を使っている感じとなり、押される側としては地面で押される感覚です。

結局は如何に重心移動による「運動量(質量×速度)」をロス無く使えるかになります。

これは中国武術では「勁」「勁道」と呼ぶと推測されます。

「発勁」などと表現すると特別なものという印象になりますが実際にはシンプルで誰でもトレーニングを積み重ねなくても体験できるものです。

それを自由自在に実践で使いこなす為には長年の鍛錬が必要になるだけの話です。

現在では、この「勁」を身につけるのに長年の鍛錬が必要と誤解されていると個人的には考えます。

主導操作系

主導操作系と4種類の「立甲」ポジションの関係は非常に理解しやすいと思われます。

例えば「中間内軸(2軸)」は捻り系の体幹主導末端操作になりますが、体幹の捻りを起点とする為に体幹と肩甲骨は「分離」しているとそこで運動量(質量×速度)が途切れてロスにつながります。

逆に体幹と肩甲骨を「連結」させると体幹の捻りによって生じた運動量(質量×速度)を十全に腕などの末端に伝えることができます。

なので「体幹主導末端操作」は基本的に体幹と肩甲骨を「連結」させることで機能するのです。

「末端主導体幹操作」は逆で手足などの末端部の動きで体幹を引っ張る形になって運動量(質量×速度)を伝えます。

2両の列車で例えると1両目(末端部)の後から2両目(体幹部)が追突してくるのが「末端主導体幹操作」の運動構造になります。

この場合、体幹と肩甲骨は「分離」することで一瞬の隙間が生じさせ、運動量(質量×速度)を効率良くさせます(接触していると2両目を押してもなかなか1両目に動きが伝わりません。隙間があることで運動量をぶつけることができます)。

こうした運動構造の違いがわかると練習方法やトレーニング方法が各支持軸によって変えていかなければいけないことがよくわかります。

ある支持軸で機能した取り組みが別も支持軸では機能しないどころか完全にパフォーマンスを低下させる要因になる為です。

▼のTwitter動画は「中間内軸(2軸)」タイプの練習方法です。みぞおちからの捻りを強調させており、「内側軸(1軸)」タイプの日本人から見ると違和感しか生じません。

ですが「中間内軸(2軸)」によるみぞおちからの捻りを起点とした「体幹主導末端操作」では非常に効率的な練習だと思われます。

▼は上記の体幹の捻りのエクササイズを参考にして、海外的なバッティングの指導を受けたと思われる日本人の動画です。

非常に興味深いのが一見メージャーリーグ的なバッティングフォームですが重心位置や体重移動と末端部を起点とした「内側軸(1軸)」の特徴が指導の前後で変わっていないことです。

支持軸の特徴は「脳神経系の運動プログラム」によるものであり、技術的な取り組みでは影響を与えることができないことを示しています。

終わりに

「立甲」というと四つんばいの体勢で「どれだけ肩甲骨が大きく背中側で立つか?」ということに目が行きがちですが、それは「立甲」という身体操作の運動構造の認識が無い為です。

もちろん、体重や支えるものが無くて「立甲」ができたとしてもそれがパフォーマンスに活きなければ意味がありません。

スポーツやダンス、武術などのパフォーマンス向上を目指すのであれば、今回ご紹介したように自身が使用している「支持軸」と相性の良い「立甲」ポジションを使う必要があります。

ある一定レベルのパフォーマンスを発揮させるには、肩甲骨を背中側で立たせることができるのは当たり前になります。

更にその上を目指すには「支持軸」に適した動作(本記事では「立甲」ですがこの他にも多数あります)を活用した取り組みが必要になります。

全く肩甲骨が立つ気配が無い人でも、適切なトレーニングを行えば思っているよりも簡単に「機能的立甲」は自然に身につきます。

今後「4つの支持軸理論」を活用した4種類の「機能的立甲」トレーニングを軸トレーニングWSでご紹介していきたいと考えています。

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