ロルフィングとは10回の施術で全身を整えるアメリカで開発された整体(ボディワーク)です。

「手の開発」と「施術で体幹連動を引き出す」

はじめに

2019.4.13(土)に骨膜リリースセミナー「身体のつながり」を開催しました。

今回はロルフィング®︎の特徴である「統合(身体をまとめる)」がテーマでした(ロルフィング®︎10シリーズでは♯8〜10がその統合がテーマとなるセッションになります)。

「統合」を意図した施術テクニックをお伝えするのは初めてのことでしたが面白い現象が起きました。

また、毎回の施術系のセミナーでは施術力と大きく関係する手の「素の身体の使い方」を向上させるエクササイズ(ムーブメント)をご紹介していますが、これも面白い発見がありました。

今回は骨膜リリースセミナー「身体のつながり」で起こった現象などをご紹介したいと思います。

内容

主な実施内容は下記の通りです。

①「素の身体の使い方」改善
⚫︎中手骨の指化
・第1〜3指と橈骨のつながり
・第4〜5指と尺骨のつながり
⚫︎主導操作系トレーニング
・肋骨主導末端操作

②骨膜リリース(統合テクニック)
⚫︎肩甲帯
⚫︎脊柱
⚫︎骨盤帯

中手骨の指化

この「中手骨の指化」のトレーニングは施術系セミナー開催当初から実施しています。

施術では使用するテクニックがどのようなものであれ、指は中手骨や前腕、体幹と繋がっていなければ受け手の防御反応を働かせてしまう為に、効果を引き出すのが難しくなります。

指や手を開発することにより、自然に施術力は高まります。

中手骨の指化とは指先のみで手を扱うのではなく、手のひらに隠れている「中手骨から指を使う」という考え方です。実際には中手骨はそれほど可動する部位ではありませんが、身体の意識(ボディスキーマ)として中手骨から指として使えるだけで施術力は高まるのです。

↓画像の④が中手骨になります。

「中手骨の指化」という呼び名は同じですが、実施するエクササイズの内容は随時アップデートしています。基本的には毎回異なったエクササイズをご紹介することが多いです。

但し、単にエクササイズのやり方が変わるといったことではなくアップデートをする度により効果的に、よりシンプルなやり方(簡単)になっています。

その証拠に毎回、前回では起きなかった現象が起こるようになるのです。

今回も前腕の2つの骨(橈骨、尺骨)を起点にした使い方(前腕主導体幹操作)で他者への影響力が変わってしまうことが明らかとなりました。

「橈骨」と「尺骨」

肘から手にかけての部位である前腕には2つの骨があります。親指側の橈骨(画像水色)と小指側の尺骨(画像ピンク)です。

橈骨は尺骨をまたいで交差するように動きます。これが回内であり、この状態から戻る動きを回外と呼びます。

「橈骨・尺骨」と「指」の連結

橈骨・尺骨とは各指との特徴的な関係があります。

①「橈骨」と「第1〜3指(親指、人差指、中指)」のつながり
②「尺骨」と「第4〜5指(薬指、小指)」のつながり

簡単に言えば親指側の指を使う際には橈骨の働きが重要になるということです。

そして「素の身体の使い方」を改善させなければこの指と前腕の骨のつながり(連結)は機能しません(一部の天才という例外は除きます)。

解剖図や骨格模型を確認すると骨格的な構造的にはこのつながりはありえそうに見えます。但し、知識だけではこのつながりは機能しません。トレーニングしてつながりを作る必要があるのです。

例えば、親指で指圧をする際に親指と橈骨のつながりがなければ親指のみに負担が集中します。よく指圧系のブログなどを読むと「指を作る」という表現がちらほら見えます。これは指圧を継続して行うことによって親指が変形して負荷に耐えられるようになった状態と個人的に理解しています。

指圧を習っていないので厳密には違っているかもしれませんが確かなことはこのようなブログなどで確認する指の使い方では受け手の内部に浸透する使い方ではないということです。親指や手首、肘、肩でロスが生じる身体の使い方ということです。

親指と橈骨のつながりができると体幹と指とのつながりもできます。この指と体幹がつながった状態で指圧をすると体重(質量)がダイレクトに指に伝えることができます。この体重がダイレクトに指に通すことができれば、実際に圧は軽くとも浸透する指圧となります(個人的にはこれを「軸の力」と呼んでいます)。

指と前腕をつなげるエクササイズ

セミナーでは指と前腕(橈骨、尺骨)をつなげるエクササイズとして3種類ご紹介しました。

シナジー・テクニックという手の握りを独特な形にすることにより腕と体幹をつなげるテクニックがありますが、そのシナジー・テクニックの応用テクニック(以下「シナジー・テクニック(応用)」)と組み合わせてエクササイズを行います。

シナジー・テクニックについては↓の記事でご確認下さい。

このシナジー・テクニック(応用)は直接的に各指と橈骨、尺骨をつなげる手の形であり、誰もが指と橈骨、尺骨のつながりを体感できます。

これは個人の感覚と言った主観だけでなく対人ワークでも明確な違いがでます。

このシナジー・テクニック(応用)を活用したエクササイズを実施すると参加者全員の指と前腕の骨がつながりました。

この状態の手で施術を行うだけで一切具体的なテクニックは変えていないのにも関わらず施術の効果が高まってしまうのです。

確認としてパートナーに手首を両手でしっかり掴まれた状態でも指と前腕がつながっていれば簡単に相手を崩すことができます。

ここまでは僕自身認識していましたが今回新しい発見がありました。それが橈骨主導、尺骨主導の使い方です。

橈骨・橈骨主導の動きで体幹をコントロールする

デモをする為に前腕を持たれていた時にふと思いつきました。

この橈骨(尺骨)の意識に任せて動いたらどうなるのだろう?

試しに橈骨の意識に任せて動くと抑えていたパートナーがより自然に崩れていきます。

今度は尺骨の意識に任せて動いてみるとこちらも同じように崩れます。

最近、「体幹主導末端操作」「末端主導体幹操作」という考え方で動作を分析しています。前者は「体幹を起点にして末端(手足)をコントロールする」、後者は「末端(手足)を起点にして体幹をコントロールする」というものです。

この考え方に合わせると上記の橈骨(尺骨)の意識に任せた動きというのは「末端主導体幹操作」系の動きである「橈骨主導体幹操作」「尺骨主導体幹操作」ということになります。

この使い方ができると合気道などの日本の武術の身体の使い方につながっていきます。

誤解されやすい点ですがこれらの動きは橈骨、尺骨を直接動かす動きでは無いということです。

見た目的には前腕の動きである回内・回外が見えますが単純に回内・回外をするわけではありません。

橈骨、尺骨に動きの起点を置きその動きに引きづられて上腕骨や肩、肩甲骨、肋骨、脊柱、下肢が結果的に動きに参加していくということです。これはあくまでも機能的に各部位が参加していくということで実際の体幹部の動きはほとんどありません。

これは体感しないと難しいかもしれませんがこれがまさに末端主導体幹操作系の動きになります。

日本の武術や舞踊、芸事はどんどん静的に動きが見えない方向に向かっていく歴史がありますがこれは「末端主導体幹操作」系の動作パターンによる特徴です。

この「橈骨主導体幹操作」「尺骨主導体幹操作」はロルフィング®︎で言うところの「統合(身体がまとまった状態)」でなければできません。

早速この「橈骨主導体幹操作」「尺骨主導体幹操作」のアイディアをセミナー受講者の方々にシェアしました。

皆さん苦戦していましたがところどころで成功していたのでエクササイズを積んで橈骨と尺骨の意識が強くなれば当たり前にできるようになりそうでした。

体幹連動により運動量の伝達が起こる

指のエクササイズで手を開発してから具体的な骨膜リリース(統合テクニック)に入っていきました。

骨盤付近の骨膜リリース(統合テクニック)をデモで説明している際に、実施前後で骨膜リリースの効果が明確にわかる評価(対人ワーク)はないかと考えていたところ「インターロック・エクササイズの腰横の動きで確認できるのでは?」と閃きました。

インターロック・エクササイズとはストリートダンサーの(故)トニーティ先生が開発された体幹連動トレーニングです。

基本の7つの動きで構成されており、腰横はその中の1つの動きになります。

↓動画がインターロック・エクササイズの腰横の動きになります。

腰横のインターロック・エクササイズでは体幹が連動した動きができると骨盤がまるで振り子のように左右に動きます。この時、骨盤の動くことによって生じる力学的な「運動量(質量×速度)」が生じます。

適切に「体幹連動」ができていれば突然パートナーに腰横を手で抵抗を加えられても逆に骨盤の運動量(質量×速度)でパートナーを吹っ飛ばしてしまうのです。

この体幹連動の動き(インターロック)が骨膜リリース(統合テクニック)で引き出せると面白いなと考えたわけです。

そこで下記のような評価を考案しました。

①実施者が緑色の矢印の方向にゆっくり骨盤を動かす。
②パートナーは赤印の部位を黄色矢印の方向に抵抗を加える。

骨盤の片方だけ骨膜リリース(統合テクニック)の施術を2箇所、計4分ほど実施した後で評価してみました。

すると、骨膜リリース(統合テクニック)を施した側は“ゆっくり”腰横の動きを行なっても抵抗を加えているパートナーを押し返してしまいました。

骨膜リリース(統合テクニック)を行なっていない側はまったく動く気配がありません。

デモでの説明が終わり、各受講者同士ペアになっての骨膜リリース(統合テクニック)での練習後でも各ペアで確認してもらいましたが同じ現象が起こりました。

このことから骨膜リリース(統合テクニック)には体幹連動を引き出す効果があるということ、手順通り行えば誰でも同じ効果を引き出すことができるということが確認できました。

反動をつけないゆっくりとしたインターロック・エクササイズの腰横の動きでの評価なので厳密的な意味での運動量(質量×速度)の伝達とは言えないかもしれません。

実際には「重心の安定性」と「重心移動による浸透力」ということになるかと思います(この表現自体が現象を主観で表しているので感覚的ですが)。

但し、反動をつけたなら運動量(質量×速度)は確実に発生し、ゆっくりとした動作よりも明らかに簡単に抵抗を跳ね返す動きになります。

なので反動は決してつけずにゆっくり行うことが重要です。

胸のアイソレーションでも運動量が伝達される

その後、肋骨への骨膜リリース(統合テクニック)を実施した際に肋骨を左右にズラすアイソレーションという動作で確認してみました。先程は骨盤に抵抗を加えましたが今度は肩に抵抗を加えて肋骨をズラす動きで相手を崩す、というもの。

部位が違うだけで原理的には同じなので、骨盤と同様に体幹連動ができれば相手を容易に押し返すことができました。

まだ確認していませんが、頭部を左右に動かすアイソレーションでもできそうですね。

イメージを掴んでもらう為に何か同じような対人ワークを行なっている動画はないかと探しましたがよい動画を見つけました。それが↓のものです。

手で触れた側が「耐えるか」「押すか」だけの違い。

向かって真ん中と右側の人の関係性がセミナー内で行った対人ワークと近いですね。

重心が移動した際の運動量が伝わればこのような現象は自然に起こります。

ちなみに、動画では座位で実施していますがこちらの方が足を使って耐えられないので立位よりも難易度は低くなります。

また、1番左側の人が抵抗を加えていると一見難易度が高くなりそうな印象がありますが実はこれはこうした宴会芸的な対人ワークのトリックです。

横に何人、何十人、何百人居ようとも真横の1人の重心を崩せばその重心の運動量(質量×速度)がまた横の人物に伝わりその人物の重心移動の運動量がまた横の人物に伝わるといったドミノ倒しのようになるので実際に何人いようが全く関係がありません。

インターロック・エクササイズをしても体幹連動が身につかない例は多い

骨膜リリース(統合テクニック)の施術により体幹連動が起こったというのは非常に価値のある現象です。

なぜならトニーティ先生のインターロック・エクササイズをトレーニングしても必ずしも体幹連動を身につけることができるかと言えばそうではないからです。

これはインターロック・エクササイズに限らず身体操作系の動作トレーニング全般に言えることですが、動作トレーニングを繰り返しても中々意図した結果が起こらないケースが多いのです(再現性が低い)。

実際に僕自身がある一定レベルの体幹連動を身につけることができたと認識したのはつい最近のことです。

1日最低3時間のインターロック・エクササイズを2年継続しましたが今になって思うと全く体幹連動としては不十分だったように思います。

それが、一切インターロック・エクササイズのトレーニングをしない方々が、施術の効果で曲がりなりにも体幹連動を身につけ重心移動や運動量の伝達という現象を引き出せるようになったのはエクササイズに施術を組み合わせることによってより効率的に動作改善ができることを意味します

ダンスにこそ対人ワークの必要性

例えば野球のように

ダンスは適切に上達しているかどうかを主観的に判断せざる負えない特徴があります。

「100球中、30本ヒット性の打球を打った」
「ピッチングで140キロのボールを投げられた」

など数値で表しにくい。

その為、一生懸命に練習をしているのに上達の方向性がズレていく傾向が他のスポーツに比べて多い印象があります。

トニーティダンスで日々インターロック・エクササイズを行なっていても「体幹連動」が上達していかない光景を自分自身体感していますし、見ています。

そのような上達の方向性を正しく修正する方法として今回紹介した身体の各部位の対人ワークが役に立つと考えています。

適切な身体の使い方ができれば必ず「運動量(質量×速度)」が発生します。

仮定の話ですが、踊っている最中に突然腕を掴まれたり、骨盤を押された場合に体幹連動が身につけていれば、自分は崩れることなく相手を吹っ飛ばすことになります。

そして体幹連動できた動きというのは非常に美しいものです。

これはあくまでも仮定の話で実際に行う必要はありませんが、抵抗を加えた対人ワークを練習やトレーニングとして行うメリットは非常に大きいと感じています。

まとめ

骨膜リリースセミナーの目的としては3つあります。

①施術の効果を高める身体作り
②施術テクニックの紹介
③身体や動作の改善

通常の施術系のセミナーでは施術の手順を説明し各自で練習する流れがほとんどです。身体の使い方の学習はありませんし、身体を改善して施術力を高めるという発想はありません。

個人的にはそれが非常に勿体ないと考えており、身体の使い方の改善も目的とした現在のスタイルのセミナーを開催するようになりました。

インターロック・エクササイズのトレーニングのみではなかなか身につけることができなかった「体幹連動」を施術で身につけられるという今回の発見はかなり大きな影響力がありそうです。

今後も骨膜リリースセミナーは開催していく予定です。

ご興味ある方は↓リンク先の【セミナー/イベント情報】をご確認下さい。開催が決定しましたらこちらのページにて告知させていただきます。

骨膜リリースセミナーでご紹介する施術テクニックはロルフィング®︎10シリーズで実際に活用して個人セッションを行っています。

「体幹連動」や「高度な身体操作」を確実に身につけたい方はロルフィング®︎10シリーズを受けられることをオススメします。

イラスト出典元
スカルプターのための美術解剖学 -Anatomy For Sculptors日本語版-

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