練習では克服できない重心コントロール

はじめに

YouTubeで最近知ったKYOKAさんという女性HIPHOPダンサーの動画をよく見ています。

個人的には全く知らなかったのですが「JUSTE DEBOUT」というダンスバトルの世界大会で優勝されているとのこと。
※「JUSTE DEBOUT」はダンスを学んでいた当時ロック・ダンスですがDVDを繰り返し見ていました。

何が関心があるかと言うと「外側軸」の体現度の高い重心操作です。

「外側軸」とはカカトから足の小指の付け根(小指球)に形成される軸感覚です。

▼画像の赤い矢印が「外側軸」のライン。このラインで主に体重を支える点(支持点)を使います。

「外側軸」を使えるようになると左右に重心を大きく使えます。

例えば、身体の側面側に一歩踏み出すとします。外側軸タイプでは小指球側で体重を支えやすいので▼画像の黄色の線(外側軸)上に身体を乗せやすくなります。これだけで重心が足を踏み出した方向へ大きく移動します。

カカトから親指の付け根(母指球)に形成される「内側軸」と比較するとわかりやすいのですが内側軸タイプ(▲画像の白い線)では親指と小指の距離分左右への重心移動が小さくなります。

外側軸タイプは黒人の文化的な身体使いですがこのKYOKAさんは外側軸が強く形成されているので、左右の重心移動が非常に滑らかであり、スムーズなのです。

ストリート系のダンスではこの「外側軸」が使えないとダンスになりません。「外側軸」が使えることにより重心が動き、その重心の動きによって体幹が大きく可動する傾向があります。

ですが、同じ「外側軸」でもその体現度があります。小指側の最大限まで重心が移動できるか、その1センチ手前までしか重心移動できるかの単なる1センチの重心移動の差がダンスだと大きな表現の違いになります。

今回はそんなKYOKAさんのダンス動画をご紹介します。

WSの動画では生徒さんとの比較で「居着き」とはどういったものかがわかりやすいと思います。
※「居着き」とは武道・武術用語で移動前の場所に身体を起き続けようとする反応。居着きの有無によってダンスの表現は全く変わってしまう。これは練習量で克服することはほぼ不可能。

もちろん、初見でその違いを見抜くのは難しいかもしれませんが繰り返し動画を見ることで「居着き」や「重心移動」を見抜く能力が育まれていきますので、あらゆるスポーツやダンス、武術などのパフォーマンスに関心のある方には繰り返し見ることをオススメします。

Kyoka (from Rushball) workshop in Streets academy

センターのKYOKAさんと周りの生徒さん?と比較すると非常に重心移動の違いがわかります。KYOKAさんは体軸が折れずに移動しているのに対して、生徒さんはその場に身体を残そうとする「居着き」の反応により頭部、胸郭、骨盤のいずれかが移動前の場所に居残っています。

動画内の各ダンサーを数回づつ見るとその違いは明確になると思います。

KYOKA – Hiphop workshop in Vietnam

振付の大きさや動きの軽さが生徒さんと比較することで非常にわかりやすいです。センターのKYOKAさんは「外側軸」が高度に使えているので重心移動によって自然に動作が大きくなりますし、動きが良い意味で軽くなります。

この違いを技術的な練習で解決しようとしても実現することは難しいでしょう。根本が異なります。

KYOKA WORKSHOP~大阪府立堺西高等学校~

※大元のYouTubeで見れなくなっているのでツイッターの動画のみでご紹介

「外側軸」がわかりやすい動画です。

▼の画像は動画の場面を切り取ったものです。この黄色の線に乗れることが「外側軸」になります。個人的には動画全体を通してこうした黄色の線のようなものを感じます。

RUSH BALL KYOKA DANCE WORKSHOP 1

生徒さんとの比較がわかりやすい。前列の生徒さんたちはなんとか上半身で表現をしようとしていますが非常に移動時に腰が重い感じがします。

KYOKAさんと比較すると、どの生徒さんも鉄球を腰からぶら下げているように見えませんか?

▼大元の動画

終わりに

重心コントロールを身につけるにはまず重心移動ができている・できていないを認識することが一番重要です。

その為にもこうした動画は非常に学びになります。

恐らくダンス経験がない方でもKYOKOさんと生徒さんとの違いは明白だったと思います。

但し、技術的な練習をいくら積み重ねても生徒さんはKYOKOのダンスに近づくことはできないと思われます。それはダンスの違いが技術的な要素ではなく根本的な身体の使い方からきているからです。

そして、具体的に言うならば「外側軸の体現度」ということになります。

ダンスを齧っていた身からしてもダンスを本当の意味で楽しむ為にはこの「外側軸の体現度」を高めて居着き無く、重心を大きく移動させることです。

少し難しい言い方をすると脳が認識している支持基底面(機能的支持基底面)を実際の支持基底面に近づけるということです。KYOKAさんはかなり機能的支持基底面が本来の支持基底面と一致しているのではないかと思います。

機能的支持基底面については▼リンク先をご確認下さい。

今現在、外側軸の体現度を高めるトレーニング方法を開発していますがかなり手応えを感じています。

2019年10月12日(土)、13日(日)開催の軸トレーニングWS「重心コントロール」基礎・応用では外側軸を鍛えるトレーニングをご紹介します。

軸系のWSは多々ありますがより本質をついた内容のものはほとんどありません。今回のWSはスポーツやダンス、武道で重視されながらもあいまいにされてきた「軸」を有効活用できる内容としているので少しでもご興味ある方は是非ご参加下さい。

詳細は▼リンク先をご確認下さい。