はじめに
「ロルフィング®︎のたちばな」では軸を4つに分類して現在考えています。
⚫︎内側軸:1軸
⚫︎中間内軸:2軸
⚫︎中間外軸:3軸
⚫︎外側軸:4軸
今回のテーマは「外側軸(4軸)」です。
外側軸はカカトから小指の付け根(小指球)にかけての部位を体重を支える点(支持点)として主に使う軸になります。
▼赤矢印が「外側軸」
アフロアメリカン(黒人)の文化的軸感覚はこの「外側軸」になります。
外側軸特徴
⚫︎左右の重心移動がしやすい
⚫︎前方への突発的な移動はしにくい傾向がある
⚫︎左右前後の体幹部の動きが4つの軸の中で一番でやすい
⚫︎全身がうねる動きになるので一瞬のキレのある動きは苦手
⚫︎西洋由来のスポーツやダンスなら何も意識せずに練習することによって自然に上達しやすい
▼画像の青い線が「外側軸」のイメージです。この「外側軸」には中心軸は理論的に無いもしくは不明瞭です。そのかわりに画像の緑色の波状の感覚が生じやすいと思われます。
「外側軸」は通常足の指先を前方に向けて立った場合に一番外側の小指球部分が自然に使えます。足と足の中間に身体重心があるとすると、その中間から小指球までの距離を身体重心が楽に移動できるので左右の動きが非常しやすくなります。
「内側軸」では中間から母指球までの距離なので身体重心の移動が構造的にしにくいのです。
「外側軸」では一歩横に踏み出すだけで身体重心は自然に移動しやすいのですが、「内側軸」の場合は身体重心を移動させる為に、足を浮かせていない側の支持脚の母指球を支点にして倒れる動作が基本的な戦略となります。
「内側軸」でも「外側軸」と同じような浮かせた足を無造作に踏み出して重心移動を自然に起こすことは可能です。但し、それには特別なトレーニングが必要になります。
4つの軸タイプは、
内側軸:1軸
↓
中間内軸:2軸
↓
中間外軸:3軸
↓
外側軸:4軸
に行くに従い左右の重心移動がしやすい傾向があります。
「外側軸」では特に身体の中間から小指球までの距離を重心が移動できるので体幹(脊柱)自体が自然に可動しやすくなります。
アフロアメリカン(黒人)が体幹が柔らかいというのは骨格的な特徴も関与していますが、それよりもこの重心の動く幅によるものの影響の方が強いと考えられます。
なぜなら日本人でも「外側軸」を身につけると途端に体幹が大きく動き出すからです。
ダンス
⚫︎ストリートダンス全般(ジャズは除く)
⚫︎カポエイラ(カポエラ)
⚫︎アフリカ系土着のダンス
など
▼カポエイラの基本ステップ(ジンガ)
「外側軸」を使うと見様見真似の動きでもかなり幻惑されます。逆に「内側軸」を使うと中心軸が見えてしまい動きがバレてしまいます。
▼カポエイラ
逆立ちで自由に動くことが組み込まれていますね。外側軸感覚が身につくと足裏が地面についていなくとも重心が移動させる感覚がわかります。中心軸を重視する空手(内側軸と外側軸のミックス)などと比較すると面白いですよね。体軸を重力に対して揃えるのではなく自由に傾ける発想がでてくるわけですね。
▼アフリカ少年のダンス
日本で生活して内側軸タイプの場合にはこうしたダンス表現をするのはそのままでは非常に難しいです。これは能力の問題ではなくシンプルに軸感覚の違いによるものです。逆に言えばこの少年は日本の民族舞踊はかなり苦手とするでしょう。
ロナウジーニョ
▼ロナウジーニョ選手の何気ない練習風景ですが「外側軸」の特徴である左右の重心移動を活用しています。左右の重心移動により体幹が自然にグニャグニャとうねっているのがよくわかる動画です。
「外側軸」とは対極的な内側軸タイプのクリスチアーノ・ロナウド選手と比較するとまるで違うことがよくわかります。
▼内側軸タイプ:クリスチアーノ・ロナウド選手。身体の中心軸を中心にして体幹を固定した状態で脚は股関節から動かす傾向があります。体幹がグニャグニャと自然に動く外側軸タイプとはかなり印象が異なります。内側軸タイプは身体の正面を起点にして左右各30〜40度程度(親指が楽に向く範囲)に身体ごと突進してジグザグに相手を抜いていくプレイスタイルになります。
▼ロナウジーニョ選手:外側軸タイプの特徴は真横への動作意識が強いので横、横、横、、、といったプレイになる傾向があります。内側軸タイプのように身体の正面に対して鋭角に切り込むのではなく鈍角に捌いていく特徴があります。
▼ロナウジーニョ選手:後半の背中からのアングルは如何に体幹がグニャグニャとしているかがわかりやすいです。
終わりに
外側軸タイプであるロナウジーニョ選手と内側軸タイプであるクリスチアーノ・ロナウド選手を比較することでプレイスタイルが明確に異なることが非常にわかりやすかったと思います。
動画だけを見ると「単なる各選手の好みのプレイの違いによるものではないのか?」と感じる方もおられると思いますが、各軸タイプを疑似体験するとその考えは明確に否定されます。
内側軸タイプでは左右の動きは非常にしにくいのです。逆に前方へのダッシュが非常にしやすい。外側軸タイプでは前方への突発的なダッシュはしにくいのですが、左右の動きは容易です。さらに、ストリートダンスで必要な体幹の可動性が自然にでてしまうのです。これはダンス未経験者でもです。
各軸タイプには各々の特徴があり、これはどれが優れているかというものはありません。但し、競技には適切な軸タイプがありますから自身の動きの軸タイプと競技の軸タイプを合わせた方がその競技の上達は早まります。
そうした視点を持つと現在流行しているスポーツやダンスの多くが内側軸よりも外側軸系のものが大半ですから、小学生・中学生の時期にはまず「外側軸」を身につけることが優先されると思われます(理想的には4つの軸タイプ全て)。
軸のタイプを把握することはジャンル関係なく上達率を高めます。
このあたりは2019年10月12日(土)、13日(日)に開催する軸トレーニングWS「重心コントロール」基礎・応用のメインテーマとなるので本記事の内容にご興味ある方にオススメします。
WSの詳細は▼リンク先よりご確認ください。