はじめに
先週は施術系セミナーや軸トレーニングWSを開催しました。
前回開催が2月だったので約半年ぶりの開催です。
新型コロナウィルスの影響があって期間が空きましたが、その間に「4つの支持軸理論」や軸トレーニングは順調に発展させることができ、過去に例がないほど受講者の方々の身体が大きく変わっていたのが非常に印象に残りました。
今回はその中での施術系セミナー「4つの支持軸理論を施術に活かす」での内容についてご紹介したいと思います。
実施内容
主に行った内容は▼のようになります。
❶基本
・支持軸タイプチェック
・求心生・遠心性の法則
・意識ポイント
・パワー・ポイント
・受動知覚呼吸
❷遠隔ワーク
・ゼロ軸
・全軸
・支持軸
❸実技
・腰方形筋
・肩甲骨
・骨盤
・統合
①基本
「4つの支持軸理論」についての原理原則やテクニックをご紹介しました。
特に、この施術系セミナーで重要になってくるのは意識操作です。
これらを使うことで施術の効果がまるで変わってしまいます。
②遠隔ワーク
遠隔ワークではベッドに寝た人に対して手は全く触れずに支持軸を変えたり、刺激するワークを行いました。
行ったのは3種類です。
各軸を刺激するポイントが身体には存在し、そのポイントを遠隔で刺激することで、その軸の状態が強化されます。この現象を施術に応用したワークになります。
⚫︎ゼロ軸:全ての支持軸をOFFにした状態。副交感神経神経優位。
⚫︎全軸:全ての支持軸をONにした状態。交感神経優位。
⚫︎支持軸:受け手の支持軸を刺激する。
この3種類について遠隔で刺激を与えてから5分ほど何もしない見守る時間を作りました。
実験的な試みだったのですが明確な違いが生じました。
遠隔ゼロ軸
ゼロ軸は、主に副交感神経系が刺激されます。
遠隔で刺激してしばらくすると寝息を立てる受講者の方もでました。それだけリラックスするということで、遠隔で刺激された瞬間からベッドに身体が沈み込む感覚が生じたとのことです。
5分経過してから身体を確認してみましたが、全身が地面にゆだねるような状態になりますね。
受講生の中にお仕事でリラクゼーション・マッサージをされている方がおられたのですが、セミナー後のお仕事でこの遠隔ゼロ軸を使ってみて効果を実感したとのご報告をいただきました。
緊張が強いお客さんに対して当初は通常通りの施術を行っていたらしいのですがなかなか筋肉がゆるまなかったそうです。そこで、遠隔ゼロ軸を行ってみるとその瞬間からお客さんの筋肉がゆるんだとのことです。
遠隔で刺激を加えるのは一瞬なので色々な使い方ができそうですね。
遠隔全軸
全軸は主に交感神経を刺激します。
遠隔ゼロ軸と比較すると非常にわかりやすかったのですが、誰も寝息を立てません😁
感覚的にもベッドから弾かれているような感じとのことです。
5分経過した後では皆、目がギンギンになっていたのが面白かったです。
また、全軸では関節の固定力が高まるので腕力が強くなりますが、確認したとことその状態が強化されていました。
遠隔全軸はリラクゼーションの対局にありそうなので施術には使う場面が内容に感じますが、施術の終盤に覚醒してもらいたい場合に遠隔全軸は使えるのではないかと考えています。
例えば、頭蓋仙骨ワークなどでは、副交感神経が優位になりすぎてめまいやふらつきが起こる場合がありますが、施術の終盤で遠隔全軸をかけると自律神経のバランスがとれめまいやふらつきなどを防ぐことができるように感じます。
遠隔支持軸
今回試してみた3つの遠隔の中では受け手の支持軸を刺激する場合が1番バランスが取れていたように感じました。
この受け手が日常的に使用している支持軸を刺激する方法は最近のロルフィング®︎で行っているやり方ですが、やはりまずは先天的な支持軸を強化することだけで身体が良い方向に変わります。
ロルフィング®︎のクライアントさんの中では、♯1の時点では全く筋力を発揮できなかったのが支持軸を刺激するやり方でセッションを重ねるだけで、全身が調和して筋力を発揮できるようになったケースもあります。
筋力が発揮できるということはしっかり立てる、歩けることにつながりますね。
簡単にまとめると、
⚫︎遠隔ゼロ軸 ▶︎ 脱力状態(正確には弛緩状態)
⚫︎遠隔全軸 ▶︎ 覚醒状態
⚫︎遠隔支持軸 ▶︎ 統合状態
を促します。
③実技
実際に触れての施術では主に「求心性・遠心性の法則」を活用したやり方をご紹介しました。
「求心性・遠心性の法則」とは各支持軸によって「身体がゆるむ(脱力)方向」と「身体がまとまる(統合)方向」が存在しその特性を利用したものです。
求心性では2点接触において2点が近づくような刺激の加え方であり、遠心性では2点接触において2点が離れていく刺激の加え方になります。
求心性、遠心性ともに支持軸の種類によって「脱力」と「統合」が真逆になったりします。
以前、学んだことがある「ボーエン・テクニック」ではこの求心性・遠心性の刺激を加えるテクニックが存在します。
開いて・閉じると表現されていましたが、何故この方向に刺激を加えるかの説明はありませんでしたが、「4つの支持軸理論」の「求心性・遠心性の法則」に当てはめるとその理由がよくわかります。
実際にセミナーでは「ボーエン・テクニック」の手法を使って、習った通りの刺激を与える方法と刺激を与える方向を逆にしたものを比較してみたところものの見事に「脱力」状態と「統合」状態が現れました。
「ボーエン・テクニック」はオーストラリアのトム・ボーエンによって開発され、カイロプラクターによって体系化された経緯があります。この両者はともに白人なので「中間内軸(2軸)」だと推測されますが、「ボーエン・テクニック」の刺激の与え方は「中間内軸(2軸)」を起点にすると「脱力」状態を促すことがわかります。
つまり「ボーエン・テクニック」の経験や体系化していく過程の中での経験則として脱力方向への刺激を加える方法を経験則として見つけていたということです。
面白いのは、日本のような「内側軸(1軸)」タイプでは通常の「ボーエン・テクニック」とは逆の方向に刺激を与える必要があることです。
【同じ手順で施術を行っても支持軸のタイプによって結果がまるで変わってしまう】
こうした点は施術を学ぶ際に気をつける必要があり、特に海外で開発された施術の場合は特に注意が必要です。
「統合」では違いがなくなる
面白かったのは実技の中で最後の「統合」させるテクニックを実施した後のことです。
それまでは施術を行うとそれに応じて身体の変化が強く感じていたのが、「統合」を意図したワークを行うと変化が出ないどころか、セミナー開始に戻るような感覚が生じたようです。
つまり、施術前の状態に戻ったような感覚です。
施術中では筋肉などの組織がゆるむのを強く実感していたのに起き上がってみると施術前の状態に戻ってしまったかのように感じる。
ですが、合気上げなどパートナーを崩すようなワークで確認してみるとあっけなく相手が崩れていきます。
こうした現象を体感して受講者の方が「???」状態になっていましたが、「統合」とは均質化だと捉えると全く不思議ではありません。
均質化するということは偏りがなくなるということなので、施術による効果を一見感じなくなります。
一般的な施術では身体の一部分をゆるめたりすることによって違いが感じやすいということです。
「統合」では均質化に加えて、身体を覚醒させる方向に向かわせるので一見施術の効果が消えてしまった感覚になるのです。
ですが、感覚は施術前と変わらなくとも身体自体の状態は向上しているので、当たり前のように他者を崩したりすることができるのです。
ビジネスでは注意が必要
パフォーマンスを最大化させるには「統合」は必須なのですが、ビジネスという視点でみるとかなり危うい面が存在します。
どんなにパフォーマンスが向上しても「施術前と身体が変わった感覚がしない」という受け手の理解ではビジネスとしてはマイナスとなります。
「施術の効果が無い」と受け取られるからです。
これは仕事として施術を生業とする人々にとっては死活問題になります😅
実際に「ロルフィング®︎のたちばな」では「4つの支持軸理論」を活用し始めた当初同様の「施術の効果を感じない」という事例がありました。
このクライアントさんは定期的にロルフィング®︎を受けていただいている方で「ロルフィング®︎のたちばな」へ信頼や理解をいただけていることと、施術中には明確な変化があったということで理解していただけましたが、これが初見の方だとこうはいきません。
おそらくは2度目のご予約はいただけない可能性がありますね。
こうした経験から、施術後に効果を実感してもらうような工夫を設けるようにしたところ、「脱力」と「統合」が比較できるようになり評判は上々です。
面白いことに、「脱力」と「統合」を交互に比較してもらえるやり方をすると大抵「統合」状態を好まれる方が多いです。
終わりに
以前の施術系セミナーと比較して行ったワーク自体の数は少ないのですが結果として身体の変化はこれまでにないほど大きくなりました。
しかも、今回のセミナーでは「4つの支持軸理論」の基本しかお伝えしていません。
まだご紹介していないアイディアは多くありますし、日々のロルフィング®︎のセッションで新しいテクニックも産まれています。
「4つの支持軸理論」自体がまだ発見されたばかりで、毎週開催している「軸トレーニング研究会クラス」では毎回のように新しい原理原則の発見が続いていますので、今後も「ロルフィング®︎のたちばな」の施術系の体系は大きく変わっていきそうです。