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マッサージ・ツールでは「筋膜リリース」はできない

マッサージガン

マッサージ・ツールに拳銃に形が似ていいる「マッサージガン」というものがあります。

これまでマッサージチェアも含めたマッサージツールの性能について疑っていました。

これまでいくつか体感したことがありますが、身体の感覚を狂わされるだけで筋肉自体はゆるまない体験しかしていなかった為です。

軸トレーニング研究会クラス(軸トレ研究会)である参加者の方が、マッサージガンの先駆けとなる「ハイパーボルト」を持参されており体験させてもらったことからマッサージガンに興味を持つようになりました。

▼ハイパーボルト
https://hyperice.jp/products/hypervolt

個人的にも

⚫︎マイトレックス・リバイブ(「ハイパーボルト」の類似品)
⚫︎ハイパーボルトプラス(「ハイパーボルト」の上位機種)

を購入しました。
※この2つは価格が3倍以上異なり、性能の違いもあるのですが、それはまた別の記事にしたいと思います。

▼左:ハイパーボルトプラス、右:マイトレックス・リバイブ

ひとまず、マッサージガンはマッサージツールの中で初めて効果を実感した器具になります。

マッサージガンを購入する際に色々調べた時に目に入ったのが「筋膜リリース」という用語です。

マッサージガンによって「筋膜リリース」ができると謳っているのです。

筋膜リリース

「筋膜リリース」はここ5、6年で一気に広まった感があります。少なくとも10年前には一般的には全く知られていませんでした。

「筋膜リリース」は元々施術のテクニックの名称だったり、筋膜への施術の総称として使われていました。

そして、筋膜リリースに関して、ロルフイング®︎が歴史的に大きな影響を持っています。

施術において「筋膜」の重要性を明言したのがロルフィング®︎の創始者であるアイダ・ロルフです。

そしてロルフイング®︎から派生した筋膜系のメソッドが「アナトミー・トレイン」ですし、ロルフィング®︎の影響を直接的、間接的に受けて多くの筋膜系の施術やメソッドが産まれています。

おそらくですが現在では「筋膜リリース」というと道具を使って圧を加える方法をイメージする方が多いのではないかと思いますが「筋膜リリース」とは元々施術関係を表す用語であったわけです。

「筋膜」の国際的な学会が立ち上がり「筋膜」がクローズアップされると同時にありとあらゆるものに「筋膜」という名称や説明がつけられるようになりました。

例えば、

⚫︎ストレッチ
⚫︎圧を加える器具

などひと昔前には、筋膜的な説明は一切されていなかったのに現在では一見関係ないように思えるのに「筋膜」という言葉が使われています。

「筋膜リリース」とは先にも述べたように元々は施術のテクニック名称および筋膜ワークの総称ですので明確な定義はありません。

ロルフィング®︎的に「筋膜リリース」を定義すると

『筋膜内の機械受容器(センサー)への刺激による神経生理学的反応にて身体能力を高める手法』

となります。

個人的には「筋膜リリース」をより明確に「筋膜神経学的リリース」と呼んでいます。

筋膜だけでなく意図する対象によって下記のように名称をつけています。

⚫︎骨膜を意図したテクニックは「骨膜(神経学的)リリース」
⚫︎関節を意図したテクニックは「関節(神経学的)リリース」
⚫︎内臓を意図したテクニックは「内側(神経学的)リリース」

こうした各種神経学的リリースを活用すると身体の感覚が目覚め、「意識操作」に対して素直に身体が反応してくれるようになります。

※「意識操作」とは例えば「頭が吊られるようにして立つ」のような意識による身体の操作です。軸を通す際に非常に役立ちます。ちなみに「4つの支持軸理論」的には「頭が吊られるように、、、」という意識操作では軸は通りません。ここでは一般的によく用いられる例として出しました。

こうした施術の効果から見るとマッサージガンの効果は明らかに施術における「筋膜リリース」とは大きく異なることがわかりました。

「脱力」ではなく「弛緩」させる

マッサージガンを「軸トレ研究会」にて初めて体験した時その筋肉をゆるめる即効性に驚きました。

ほんの10秒ほどのアプローチで筋肉がゆるむのがよくわかり、従来のマッサージ機のように感覚を乱される感覚もありませんでした。

手のひらに行った後、手をブラブラさせると非常に細かく手を振ることできました。

「これは期待できる‼︎」

と思い早速「合気上げ」で確認してみました。

すると思った以上に効果が出ないのです。

意識操作などを最大限に行っても「合気」が思っているほど起こりません。

そこで、施術テクニックで同じ手をアプローチして見ると、相手がのけぞるほど明確に「合気」がかかります。

自分の身体の体感と実際の評価(ここでは「合気上げ」)のミスマッチが起こっていました。

その後、マッサージガンの身体がゆるむ効果は無視はできなかったので早速マッサージガン(マイトレックス・リバイブ)を購入し、タイミング良く軸トレーニング・セッションを受けてくれた友人に対して、セッション後に色々と試してみました。

するとやはりマッサージガンを使用すると確かにゆるむけども、逆にできなくなることがいくつかありました。

一覧にすると下記になります。

⚫︎筋力低下
⚫︎「合気」ができない
⚫︎軸が使えない(軸が通らない)
⚫︎「統合」させる施術が効かなくなる

つまり、マッサージガンの効果は単に筋肉がゆるむだけということです。

マッサージガンの振動にて反射レベルで筋肉が強制的にゆるみますが一定時間筋肉のコントロール能力が失われます。

ロルフイング®︎の施術ではこのような現象は一度も起きたことはありません。

興味深いことは一定時間、手による施術の効果が著しくしく低下するということです。

これは筋膜内の機械受容器(センサー)がマッサージガンの振動により抑制されてしまったことが考えられます。

「身体がゆるむ」状態を「脱力」と表現されることがありますが、「脱力」が身体パフォーマンスに関係する概念だとするとマッサージガンの単に筋肉がゆるんだ状態とは「弛緩」という用語を使い「脱力」とは状態を分ける必要がありそうです。

「脱力」は軸の強化に役立ちますが「弛緩」はそれだけでは何にも役立ちません。

軸トレ研究会にて再確認

その後、軸トレ研究会でマッサージガンを試してみましたが同様の現象が起こりました。

背中側の筋肉に対してマッサージガンを試した場合には一見「姿勢がよくなる」というように見えますが軸自体は逆に弱くなりました。

マッサージガンで筋肉を弛緩させると人を押す動作で確認したところ全く押せなくなってしまいました。

ロルフィング®︎では手の施術の代用にならない

ネットでは、治療系の施術を生業とされている人々が、手での施術の代わりにマッサージガンで行うことを推奨しているのをよく目にします。

こうしたことから治療系の施術ではある意味「筋肉を弛緩させることを目的としている」ことが間接的にわかります。

ロルフィング®︎ではマッサージガンでの施術では身体のまとまり(統合)が起こらないのでマッサージガンをメインとすることはできません。

ロルフイング®︎を受けると全身の統合が高まるので「合気」をかけやすくなります。「ロルフィングのたちばな」ではクライアントさんが「合気」がかけられるようになるかどうかをロルフィング®︎の効果判定(「統合」の目安)に活用しています。

擬似的な「ゼロ軸」状態?

その後、自分の身体で色々と試したのですがマッサージガンの刺激は強制的に「ゼロ軸」と近い状態にすることがわかってきました。

特に手のひらや腕へのマッサージガンを行うとそれから一定時間、関節を固定することができなくなり例えば壁を押しても壁に押し返されてしまうような状態になります。

この状態は「ゼロ軸」と呼んでいる4つの支持軸をOFFにした状態に非常に近いものです。

ある意味同じ状態かもしれません。

異なるのはマッサージガンでの「ゼロ軸」化は自分自身ではその解除が全くできないことです。一定時間経過しないとその状態は元に戻りません。

「ゼロ軸」の状態を漫画「ハンター×ハンター」にでてくる「絶」というオーラを完全に遮断した状態だと良く説明しますが、さらに漫画内ででてくる強制的に相手を「絶」状態にする描写とマッサージガンによる「ゼロ軸」化もよく似ているように思えます。

「抑制反応」の解除は45分必要

マッサージガンによって筋肉を強制的に「弛緩」された状態を「抑制反応」と便宜的に名付けました。

この「抑制反応」が継続する時間はどうやら『45分』前後のようです。

自分自身の身体はマッサージガンによる「抑制反応」による「ゼロ軸」化がかなり顕著に出るので確認しやすいのですが、時間を計測してみると『45分』なのです。

これは数回確認しましたが同じでした。

個人差はある可能性がありますがひとまずここら辺が一つの基準になるのではないかと思います。

ロルフイング®︎に活かす為に

マッサージガンの筋肉を「弛緩」させる即効性はやはり捨てがたいので、どうにかロルフイング®︎のセッションに生かせないかと模索中です。

マッサージガンの「抑制反応」解除の時間が「45分」だとするとセッションの組み立て方次第では活用することができそうです。

後は、マッサージガンを活用したロルフィング®︎では、そうでない場合よりも結果が向上するという検証が必要になります。

少なくとも45分経過した後、統合のアプローチ(施術やエクササイズ)によって「合気」現象が通常よりも高まるという確認が必要になります。

このあたりを今後の軸トレ研究会で検証していきたいと考えています。

終わりに

本記事で提唱した筋肉の「弛緩」と「脱力」の違いを知ることは施術を生業とされる方にとっては非常に重要だと個人的には考えています。

おそらく治療系の施術では「弛緩」で十分なのかもせれません。

但し、身体パフォーマンス向上を目的とした施術の場合には「脱力」「統合」を見据える必要があります。

スポーツやダンスに置いてウォーミングアップとしてマッサージガンを使うことは「抑制効果」を考えると絶対にオススメできません。

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