月4回(週一回)開催している「軸トレーニング研究会クラス(軸トレ研究会)」でのことです。
「4つの支持軸理論」の根幹に影響するような発見がありました。
それが、
5番目の支持軸「ゼロ軸」
です。
厳密的に言うと「ゼロ軸」は支持軸ではありません。
「支持軸」が無くなった状態。
つまり身体の「軸」の無い状態になります。
「軸」が無くなるとどうなるか?
居着けなくなります。
「居着き」「居着いた状態」というのは重心をその場にとどまらせようとする無意識の身体の反応です。
日本武術ではこの「居着いた状態」を嫌い、「居着かない」ことを目指します。
その「居着き」なくなるとその場にとどまる反応が一切なくなるのです。
すると不思議なことが起こります。
以下は自分自身が「ゼロ軸」になった状態での体験です。
「ゼロ軸」状態での不思議な現象
他者に押されると耐えられなくなるので、押されたらそのまま後ろに押されてしまいます。
逆に、他者をこちらが押そうとしても踏ん張りが効かずに相手はそのままでこちらの身体が後ろに後退させられてしまいます。
これは壁を押した時も同様です。
踏ん張りが全く効かないのでこちらの「力」が相手に通らず、そのままこちらに返ってきてしまうのです。
この現象に気付いてから色々と試して見ました。
この居着きの無くなった「ゼロ軸」状態で歩いて他者とぶつかってみました。
するとビリヤードのボールのように跳ね返されるのです。
合気上げでも試して見ました。「ゼロ軸」状態で相手に両手首を持ってもらい両手首を持ち上げていきます。すると、すんなり相手の身体が上方へ移動していくのです。
もしかすると「ゼロ軸」状態でも合気がかかるのかと思っていると、実際には自分の膝が崩れて相手は全く動かずこちらが結果的に下の移動していたことが判明しました。
面白いのは合気上げを行ったこちらも、受け手である相手も全く「力感」を感じないということ。
ミットに突きを打って見ましたが表面にしか打撃が伝わりません。受けた側の感触としてもとても不思議だったようです。
おそらくは打撃がミットに当たった衝撃が反作用で打った側に返ってくるのが物理学ですが、この際に踏ん張りが効かないので本当の表面にしか打撃が浸透しないと考えられます。
多分、全力で打ち込んだなら打った側が跳ね返されていたでしょう。
こうした上記のような現象から、「ゼロ軸」状態というのは筋肉の機能である「伸長反射」などの反射機能を低下させるモードと考えられます。
ある意味、
完全に意図を無くした状態
とも考えられます。
深い脱力状態になる
「ゼロ軸」状態では踏ん張りが効か無くなるかわりに、身体の無駄な緊張も解除されるようです。
自分自身、「4つの支持軸理論」を発見してから脱力に関してはかなり深まっているのですが、それを超える脱力状態になることができます。
但し、純粋な脱力は何も産まないことも体感できます。。。
施術への可能性
軸トレ研究会の参加者の方から施術を行なって見たらどうか?とのご提案がありましたので実際にシンプルに腕を押す施術を試して見ました。
すると感触がやはり異なるようです。
「ゼロ軸」状態だと相手の抵抗反応が起こらずに受け入れてくれるようです。
通常は痛みがでるレベルの力で押しても痛みがでないようなのです。
武術には「剛」と「柔」という考え方がありますが「ゼロ軸」状態は完全なる「柔」の世界なのかもしれません。
こうした現象を体験すると相手が反応できないで崩してしまう「合気」というのは実は「柔」ではなく、あくまでも「剛」のカテゴリーに属するのかもしれません。
▼合気のイメージ
機会を見つけて「ゼロ軸」状態でロルフィング®︎をして確認してみようと思います。
施術側が「ゼロ軸」状態で行うのと同時に、やり方次第では施術を受ける側を「ゼロ軸」状態にする施術も開発できそうです。
受ける側が「ゼロ軸」状態になるメリットは、かなりあるのですがそれはまた別の記事にしたいと思います。
4つの支持軸が自由に通せる
「4つの支持軸」は意識ポイントという身体の特定の部位を意識すること(意識操作)により一時的ですが自由に支持軸を通すことができます。
「ゼロ軸」状態でこの意識ポイントを操作してみたのですがすんなりと4つのそれぞれの支持軸を通すことができました。
こうした意識操作を学ぶ為にこの状態は役立つのかもしれません。
面白いのは「ゼロ軸」状態とは全く「支持軸(軸)」が無い状態ですから意識操作によって支持軸を身体に通すことによって
「軸」は本当にあるんだ‼︎
と感じるほどの明確な軸感覚を体感できます。
「純粋な脱力状態」と「支持軸を通した状態」はやはり異なるということですね。
脳疲労が半端ない
この「ゼロ軸」ですがかなり危険な側面があります。
上記の完全に居着きが無い状態では、人とぶつかると抵抗できないので新宿や渋谷などの人混みの中で「ゼロ軸」にするのはかなり危険です。
また、それ以外にも脳への負担が大きいのです。
通常の状態とは脳の使い方が異なるので脳の疲労がかなり大きく、すぐに頭が「ふらふら」「クラクラ」になってしまいました。
これは「4つの支持軸」を日常化する際にも起こる現象ですが、理屈的にはさらに脳への負担大きいことが予想されます。
また、「ゼロ軸」状態では副交感神経を優位にするようで身体がだるくもなります。
今は睡眠時に「ゼロ軸」状態になって身体に染み込ませる確認作業を始めています。
実はこの「ゼロ軸」というのは自律神経系を始めとした身体の回復に大きく貢献するのではと考えています。
かなりこの「ゼロ軸」にも大きな可能性がありそうです。