先日開催した軸トレーニングWS「末端主導体幹操作」において動作改善が上手い行った事例があったのでご紹介したいと思います。
簡単に説明すると腰椎付近が丸めたいのにどうしても反ってしまう方が居られたのですが、それを直接的な方法では無く、間接的なアプローチによって改善したというケースです。
つまり「結果的」に改善したということですね。
これは「ロルフィング®︎のたちばな」のメニューの1つである「ムーブメント5シリーズ」を「軸トレーニング・セッション」に名称や内容を変えた理由の一つとなっています。
軸トレーニングWS「末端主導体幹操作」:基礎(1日目の内容)では手と全身の連関を開発する為に「手」を起点として脊柱をCの字に丸めるトレーニング(「円背トレーニング」と呼んでいます)をメインに実施しました。
これができると「合気上げ」や末端主導を活用した「タックル」で大いに活躍するのですが、重要な点としては背中を柔らかく連動させるということです。
「末端主導体幹操作」は4つの支持軸の中の1つであり、日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」でないと機能しません。
そして「内側軸(1軸)」は背中を丸めることで機能が発揮できる特徴を持っています。
【重要ポイント】
⚫︎内側軸(1軸)では背中を丸めることによって広背筋が使える
→日本の柔術につながっている
⚫︎中間内軸(2軸)では背中を反らせることによって広背筋が使える
→レスリングにつながっている
※支持軸の違いによって脳神経の運動プログラム的に明確な違いがあります。
ここで1番のハードルとなることは現代の日本では背中を反る癖が身につきやすい文化になっているということです。これは西洋文明が日常生活に浸透していることと大きく関係があると思われます。
なので人によってはそれまでの経験で、どうしても腰を反らしてしまう癖を持っている方が居られます。
今回のWSでもお一人、円背トレーニングの際に腰を反らしてしまっている方が居られました。
ちょうどよい機会だと思い、その方とそのパートナーであった円背トレーニングで適切に背中を丸めることができる方に前にでてきていただき、動きの違いを受講生の方々に見てもらいました。
おそらくですが一般的なやり方としては、どのようにできていないのかをその方に認識してもらう為に鏡などでそのフォームを見てもらうなどの方法が思い当たると思います。
但し、この一般的なやり方はあまり恩恵がないと個人的に考えており(むしろデメリットが多い)、今回もそのやり方は採用しませんでした。
何故なら、その方自身が腰を意図的に反らせようとしているわけではないからです。
無意識的に腰を反らしてしまうわけで、重要なことは腰を反らせるスイッチを切ることです。
鏡などを見てフォーム(形)を修正しようとするとフォームで改善しようとしてしまいます。
これは「無意識的に腰を反った状態から意図的に腰を丸めようとする」ことになります。
すると「無意識的に腰を反る」という状態は解決しないままに、余計な癖が加わる構造になるわけです。
大抵のスポーツやダンスなどの分野でフォーム修正が上手くいかない理由の大半はこうしたケースです。
個人的に重視していることは「結果的」に改善させることです。極論を言えば本人の自覚がなくてよいわけです。むしろ同じ意識でやっているのにいつの間にか上手く行くようになったと周りだけが気がつく方が1番の正解。
何故ならご本人に成功体験があるとその後もその改善した部位に対して意識してしまう傾向があるからです。この余計な意識によってまた別の癖が発生することとなります。
なので、結果的に改善することが重要なのです。
実際にWSでは「末端主導体幹操作」を活用した身体を捻るエクササイズを実施しました。
膝を起点にして結果的に身体が捻られるというエクササイズです。
【補足】
翌日の軸トレーニングWS「末端主導体幹操作」応用では、同じ身体を捻るエクササイズを
4つの支持軸を使って行うやり方を実施しました。「内側軸(1軸)」では「末端主導体幹操作」で行い、それ以外の3つの支持軸ではそれぞれの特徴を活用した「体幹主導末端操作」
で行います。
行っているのは同じエクササイズなのに使用する「支持軸」と「意識(やり方)」が
異なると、全く違った効果が産まれます。
エクササイズ後、再度先程の2名の方に円背トレーニングを皆さんの前で披露していただきました。
すると見事にどうしても腰部が反ってしまっていた方の腰が素直に丸まるようになりました。
この光景を見てひとまず一安心。
論理として確信があったとしても実際の改善がでるかは実際に行ってみないとわからないものです。
今回の改善方法はひとまず正解だったということですね(^^;;
こうした癖の改善がその場で修正することは手前味噌ながら一般的にはかなり難易度が高いことだと思われます。大抵は数ヶ月単位で先延ばしにされてしまう(せざる負えない)ケースが多々あります。
特に今回のケースでは2日目の軸トレーニングWS「末端主導体幹操作」応用でもその方の腰はしっかり素直に丸める動きが継続されていました(むしろ質的にはかなり向上もして)。
その場の一瞬改善されたように見えても翌日といったように時間が経過すると再度できなくなるというのもよく見るケースです。
そうした一般的な事例をイメージすると今回の改善例は通常はありえないことだと思います。
部活レベルのアマチュアの指導者の元では、
『何度言われたらできるようになるんだ‼︎』
と理不尽な怒りをぶつけられた経験がある人はかなり多いのではないでしょうか?
動作の修正では「結果的に改善する」という視点が重要です。
本人は全く気がついてなくてもよいわけです。
むしろ気づかない方が良いケースもあります。
【注意点】
ビジネス的にはこのやり方は上手くは無いのです(^^;;
ロルフィング®︎などのボディワークだったら根本的に解決しなくとも
クライアントさん自身の主観的に実感が多い方が満足度が高くなります。
但し、自分自身がスポーツやダンスのパフォーマンスを高める為、
根本的に身体を改善をしたいという動機でロルフィング®︎を受けており、
自分の提供するロルフィング®︎や軸トレーニングでもクライアントさん
の根本的な改善の手助けがしたいと考えています。
「ロルフィング®︎のたちばな」のメニューである「ムーブメント5シリーズ」を「軸トレーニング・セッション」に変更した理由の1つは上記のような経験をしているからです。
これまでは毎回異なるエクササイズを紹介するような内容でいました。
但し、手順だけ伝えてもそれを一回のセッションで正しく理解することはかなり難しいことです。
また、クライアントさん自身その場で劇的な効果を実感しないと家でエクササイズを継続していただけないという問題もあります。
なので回数制限を撤廃し、1つの改善課題を複数回のセッションを通して改善していくというやり方にしました。
特に「4つの支持軸理論」を構築してから、誤った身体使いをしていることが明確に見えるようになってきました。
例えば、「内側軸(1軸)」を使っているのに体幹から動こうとしているなど。
こうしたケースでは、使用する支持軸自体を変更する、もしくは体幹ではなく末端を起点として「末端主導体幹操作」を採用するなどの提案をさせていただきます。
こうした方向性が間違っており、上達が停滞しているケースは多いものです。
スポーツやダンスなど競技レベルを高めたい方に「軸トレーニング・セッション」を活用していただきたいと思います。
軸トレーニング・セッションにご興味ある方は▼のリンク先をご確認下さい。