▼8月8日(土)にトークイベントを開催します。
※動画でも視聴できます。
タイトル【「4つの支持軸理論」が身体を自由に変える】
本記事で触れた
⚫︎「中心軸系動作」「側軸系動作」の説明
⚫︎「外側軸(4軸)」での「ダウンのリズム」実技
などについてご紹介予定です。
黒人の軸感覚
「4つの支持軸理論」では黒人の身体運用は「外側軸(4軸)」で身につくと考えています。
黒人の軸感覚は「外側軸(4軸)」であることは、「外側軸(4軸)」を身体に通すことが生じる特徴からそのように考えざるおえないのです。
「黒人」の身体的特徴としては、
⚫︎身体のバネ
⚫︎リズム感
⚫︎臀部、広背筋の発達
などが挙げられますがこれは独立した関係ではなく、お互いが密接に関係しあっています。
つまり、全ては体重を支える支持点の足裏の位置によって上記の特徴が生まれると考えられるのです。
足底の支持軸ライン
黒人の軸感覚である「外側軸(4軸)」の体重を支える部位(支持点)は▼画像の④に当たります。
この青色のカカトからつま先にかけてのライン上に支持点を置くことで「外側軸(4軸)」の特徴が表れます。
この支持点の存在がわかりやすいのが▼動画です。
右足裏の「外側軸(4軸)」ラインから左足裏の「外側軸(4軸)」ラインに体重の切り返しを行うことでディフェダーが反応できないフットワークになります。
ちなみにこれは側軸系動作の「外側軸(4軸)」だから機能します。
「軸」には捉え方によって様々な種類が存在しますがここでは「中心軸」と「側軸」を取り上げます。
「中心軸」とは身体の中心にできるラインであり、「側軸」とは中心よりも外側に形成されるラインのことになります。
4つの支持軸では、
「内側軸(1軸)」「中間外軸(3軸)」
▼
中心軸系動作
「中間内軸(2軸)」「外側軸(4軸)」
▼
側軸系動作
になります。
「外側軸(4軸)」などの側軸系は足を踏み出した際に自然に側軸が形成されます。「外側軸(4軸)」という支持軸がそのまま側軸になるのです。
なので左右に踏み出す度に側軸が形成されます。
それに対して日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」のような中心軸系動作は、中心軸を「内側軸(1軸)」に足底ラインに移動させる必要があります。
側軸系動作では足を踏み出せば側軸が通り重心移動が自然に起こりますが、中心軸系では中心軸を足底の支持軸ラインに移動させる必要があるのです。
一見同じようなことですが運動構造や動作感覚としてはまるで異なります。
また、足裏の支持軸ラインの位置の違いによって「外側軸(4軸)」は同じ側軸系動作である「中間内軸(2軸)」よりも左右の動きの幅が大きく、滑らかになります。
ちなみに「中間内軸(2軸)」ではステップ系がやり易いという特徴があります。「中間内軸(2軸)」の文化である西洋では上体を固定してステップのみ多用した民族舞踊が多くありますがこの支持軸の特徴に適したものになります。
足裏の②ラインと④ラインではほんの数センチの幅の違いです。ですが、この少しの違いが運動全般的に大きな違いとなります。
実際には力学的な側面だけでなく、脳神経系の運動プログラム的にそれぞれの足裏の支持軸ラインが効率的に働くようなシステムにもなっている。
可動しやすい部位
4つのそれぞれの支持軸では▼のように可動しやすい部位が異なります。
「外側軸(4軸)」では④のラインよりも下の部位が可動しやすくなります。
つまり全身です。
これは足裏の支持軸ラインや脳神経系の運動プログラムなどの複合的な結果だと考えられますが、このことにより「外側軸(4軸)」では全身の各関節が動きやすく、しなりを生む要因となっています。
それが「バネ」や「リズム感」に繋がっています。
1軸と4軸で交互にジャンプしてみる
日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」と黒人の軸感覚である「外側軸(4軸)」はある意味対照的なのでこの2つの動作を比較すると非常にわかりやすくなります。
その場でのジャンプを「内側軸(1軸)」と「外側軸(4軸)」で交互に行うと一般の方でもその違いに驚かれます。
この違いは明らかで「外側軸(4軸)」の後に「内側軸(1軸)」を見ると全く身体が動いていないのがよくわかるのです。
「外側軸(4軸)」で連続ジャンプを行い徐々に飛ぶ高さを低くしていき、最終的に膝での屈伸運動にしていくと自然にストリートダンスの「ダウンのリズム」になります。
これがダンス未経験者の方が行ってもサマになるのです。
この「ダウンのリズム」ですが実は難しいのです。
日本のストリート系のダンススタジオに行くとわかりますが、日本人の初心者は膝の屈伸になってしまいます。
そして慣れてくると形は一見できている感じになりますが、意図が見えてしまいます。
基本の「ダウンのリズム」で意図が見えますからルーティンを踊っても質的には変わりません。
その為、日本のダンサーはプロでも独特の印象である傾向があります。
この要因は「内側軸(1軸)」でありながら「外側軸(4軸)」タイプのストリートダンスを行っているからです。
▼はTwitterで回ってきた動画です。
かなりコメントやRT、いいねを見るとかなりの反響がありました。
その踊る姿はあくまでも自然であり、動作に人工的な意図がありません。
こうした質のダンスを踊ろうとすると「支持軸」を「外側軸(4軸)」にする必要があります。
そして「外側軸(4軸)」になるとダンス未経験者でもこの質のリズム取りができるようになります。
「バネ」
現在のスポーツ医学では「バネ」の能力は筋肉の収縮というよりも筋肉や腱を構成するコラーゲン(筋膜、腱膜)の弾性エネルギーによる要因が大きいということがわかっています。
▼のジャプでは日常的なイメージとは異なり下腿の筋肉は長さが変わらない「等尺性筋収縮」になっています。
足に注目すると「外側軸(4軸)」の足底のラインでジャンプしているのが見て取れます。
「外側軸(4軸)」でこうしたジャンプを行うと足首だけでなく背骨の一つ一つがたわんでジャプ力の弾性エネルギー源となるのが体験できます。
これが「内側軸(1軸)」では下腿だけで飛んでいる感覚であり、弾性エネルギーを全く感じることができません。
▼はYouTubeから見つけた日本人による「タックジャンプ」という膝をお腹に膝をまげてジャンプするトレーニングです。
ジャンプの種類は厳密には異なりますが、マサイ族と比較するとその質感がまるで異なるのがみて取れます。
日本人によるジャンプは体幹が固い印象があります。
日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」ではある意味ジャンプは適さないと言えるかもしれません。その為に日本武術では「地面を蹴らない」「身体を沈みこむ」ような身体運用を選択していると考えると納得が行きますね。
終わりに
個人的に黒人の身体運用を学ぶ為にストリート・ダンスを学んでいた時期があります。
書籍「黒人のリズム感の秘密」に記載されている体幹連動動作であるインターロック・トレーニングをベースとしたダンスを学びながら、仕事前や昼休み、仕事後の練習で毎日5時間以上ダンス練習に費やしていました。
「4つの支持軸理論」で分析することでわかりましたが、インターロック・トレーニング自体の支持軸タイプは「中間外軸(3軸)」になります。
これによりインターロックの開発者であるトニーティ先生(七類誠一郎)の「外側軸(4軸)」の動きとインターロックで培われる動きが異なる理由がわかりました。
しかし、結果的には黒人の動作は身につきませんでした。
練習すると当然、踊れるようにはなります。
但し、黒人のニュアンスとは異なるのです。
それが「4つの支持軸理論」を発見し「外側軸(4軸)」を機能させる軸トレーニングを行いある程度「外側軸(4軸)」が使えるようになった時、「これだ‼︎」という感覚が得られました。
10年以上ダンス練習は行っていなかったのに自由に踊れるのです。
その後、ダンスではなく上記で述べたようにクライアントさんに「外側軸(4軸)」でただジャンプしてもらって確認したところやはり印象としても黒人のそれに近い印象となっています。
あるクライアントさんは「外側軸(4軸)」を身体に通すと「身体が勝手に動く♪」と言って、いつまでも踊り続けていました。
謎だった黒人の身体能力の一端が「4つの支持軸理論」によって解けつつあります。
実は「外側軸(4軸)」でウォーキングするだけで大臀筋や広背筋が自然に使うことになります(これらの筋肉は日本人が使えないとされている部位)。
黒人の大きな臀部、広背筋などの筋肉が発達した身体も「支持軸」の違いによる脳神経系のプログラムの違いによる筋肉の使われる部位や成長ホルモンの分泌の違いによる結果と考えることができそうです。
「外側軸(4軸)」を通すだけで側軸の意識が強くなり、肩幅も広がりますからあらゆることに支持軸が関係していることは確かなようです。
「4つの支持軸理論」を使ったトレーニング、練習を行うことで黒人の身体能力の謎はさらに解かれていくと思われます。