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20年前にできなかったことが「論理の力」でできるようになる

はじめに

2019.05.14(火)の練習会クラスでは合気道の座技呼吸法をテーマとして実施しました。
※「座技呼吸法」と「合気上げ」は基本的に同じだと個人的に捉えています。

座技呼吸法は基本の稽古でありながらおそらくできる人はほとんどいないのではないかと思える技でもあります。

問題点としては、

①強く押さえられるとできない。
②手を持ち上げられたとしても相手の手が離れてしまう。
③技をかけることができたとしても応用が利かない。
④素人など初心者を相手にするほど利かない(馴れ合いが存在する為)。

①、②は稽古不足と捉えられがちですが、③、④は合気道の根本的な課題です。

練習会クラスでは合気道の技を稽古するわけではなく素の身体の使い方を学ぶ為に合気道的な技をテーマとすることがありますが、今回の練習会クラスでは上記の4つの問題点は結果的にクリア出来るような結果がでました。

座技呼吸法とは?

座技呼吸法とは▼のようなものです。

※動画の相手はかなり感応にかかっておりかかりやすくなっているように見受けられます。④の問題点です。何も知らない素人が全力で押さえてきた場合にも同じことができるか度々確認することを怠ると自身の能力を過信することにつながります。

合掌トレーニング(アップデート版)

前回に引き続き「合気上げ」「座技呼吸法」の練習会でのテーマは前腕と手のコントロールを学ぶことにしました。

自身の前腕の骨(橈骨)を抑え手の親指にひっかけて橈骨vs親指の形にすることを目的としました。

適切に橈骨vs親指の形にすれば相手がどんなに体格的に自身よりも優っていても相手の親指が自身の前腕よりも細いならば理論上は技をかけることができます。

但し、練習でこの前腕と手のコントロールを身につけようとすると数ヶ月から数年かかりますし、人によっては一生かかります(身につけられない)。

それが合掌トレーニングを行うと数分でこの前腕と手のコントロールが疑似体験できるのです。

今回は新しい発見があったので前回行った合掌トレーニングをアップデートしたやり方を紹介しました。

その効果はかなり劇的で、

⚫︎座技呼吸法ができるようになる
⚫︎抑える力が強くなる
⚫︎指が長くなる

といった効果が直ぐにでました。

相手を自由にコントロールできる

練習会に参加されている方は1人を除いて合気道などの日本の柔術系の経験は全くありません。

ですが、数分の合掌トレーニングで前腕と手のコントロールを体感して前腕の骨で相手の親指に引っ掛けるやり方をお伝えすると途端に座技呼吸法で相手をコントロールできるようになってしまいました。

親指という末端から体幹を崩すことにより、一見小手先の操作ではありますが相手が崩れます。

課題としては相手をコントロールしようとする意識が強すぎると橈骨で相手の親指をひっかける意識が抜けてしまう点です。

恐らくは回数を重ねればこの点は自然に克服していくのではないかと予想しています。

また、合掌トレーニングを行うと体幹の筋肉にスイッチが入り物凄く強くなります。その影響で一見親指の操作では体幹が崩れなくなりますが、実は適切に親指にひっかけることができていれば全く支障はありません。

相手の親指から体幹のつながりを感じていればそのまま崩すことができます。

メカニカルなやり方を身につけると合気が習得しやすい?

このような合気道的な技には人体の構造を利用してかけるメカニカルな原理と神経生理学的な反応でかける合気の原理の2つがあると個人的には考えていました。

つまりはメカニカルなやり方と合気は別物だと考えていたのです。

ですが、それが実は間違いだったのかもしれないという経験をこの練習会クラスでしました。

参加者の方の受けを取っていた時です。

受けを取りながら橈骨で親指をひっかけられた状態で体幹を崩す操作を指導していた時に途端に身体を転がされました。

これは物理的な力ではなく神経生理学的なまさに合気で崩された感覚です。

その場では「感応の感度を高めていたからだろう」と考えていましたがその後、ロルフィング®︎やムーブメントの個人セッションでもこの座技呼吸法を指導した際に同様のことが起こります。

実はメカニカルなやり方と合気を使ったやり方は同じ線上にあるものかもしれないと思うようになっています。

もちろんそこには条件がありそうです。

①指先で相手の体幹を崩せるつながりを感じる。
②自身の前腕と手のコントロールを身につける。

この2点は最低条件のように現時点で感じています。

そして、通常の合気道の稽古にかけている点です。

他の技に発展させていく

今後のテーマとしては「合気下げ」という相手を地面の方向へ崩す技を模索していきたいと考えています。

相手の親指をひっかける感覚がわかれば、今度は親指以外の4指をひっかけることもできるようになります。

また、指にひっかける感覚がわかれば指を対象としなくとも相手の手の平で同様のことができそうです。

こうしたことがわかってくると合気道の「天地投げ」「隅落とし」という通常はお互いの馴れ合い要素がないとなかなかできない技も行えるようになってきます。

こうした論理がわかってくると「座技呼吸法」というのは基本でありながら最重要な要素でもあることがわかります。

終わりに

大学の3年間、合気道部に所属し自分なりに真剣に稽古をしていたつもりでしたが全く身につけることができませんでした。

それから20年近く経過しましたが、「素の身体の使い方」と「論理」で合気道を分析していくと20年前にできなかったことが次々にできるようになるという経験を現在進行形で体感しています。

僕自身は岡山県の数校の大学合気道部と某合気道の本部道場の稽古しか体験はありませんが多くの道場は近い状況ではないかと思います。

素人ほど技がかからない。そして稽古相手にもかからないから力技になって相手にケガをさせてしまうわけです。

もちろん、合気道をされている方の中には誰にでも技をかけられる技量を持った方は居られると思います。

但し問題点はそこではありません。稽古に再現性がないという点が問題なのです。

馴れ合いの風潮があると技が効かなくとも受け自身が動いて技が効いているように振る舞うのが日常化してしまいます。

個人的にはこうした馴れ合いの風潮は合気道自体への冒涜ではないかと考えています。

今後も練習会クラスでは「素の身体の使い方」と「論理」を武器にして合気道の技を分析していきたいと考えています。

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