
はじめに
これまで「4つの支持軸理論」を提唱してきましたが、数ヶ月前にそれまでとは異なる身体のシステムの存在を発見しました。
そこでこれまでの支持軸を「身体的支持軸」、新しく発見した身体のシステムを「機能的支持軸」と呼ぶことにしました。
つまり、「4つの支持軸理論」での支持軸は「身体的支持軸」と「機能的支持軸」の2つ存在すると言うことです。
ともに4つのタイプの支持軸がある
「身体的支持軸」「機能的支持軸」ともに1軸〜4軸の4タイプの支持軸があります。
この両者の支持軸が一致した状態(同じ支持軸)を「身体-機能支持軸一致(略称:支持軸一致)」と呼ぶことにしました。
この支持軸一致が身体操作の分野での天才の条件だと個人的には考えています。
それだけ不一致な状態とは大きな違いが短期的にも、長期的にも現れます(長期になればなるほど大きな差になる)。
機能的動作が無意識にできる
「身体的支持軸」は身体を扱う為の『土台』を担当します。
「機能的支持軸」は身体を最適に扱う為の『機能』を担当します。
これまで各支持軸(身体的支持軸)を適切に扱う為に各支持軸に特有の「機能動作」が重要でした。
以下に各支持軸の機能動作の一部を記します。
各支持軸の機能動作 1軸(内側軸):手足頭から動く 2軸(中間内軸):みぞおちから身体を捻る 3軸(中間外軸):骨盤の捻りを使う 4軸(外側軸):両肩を左右に動かす
実際にはもう少し複雑な動作だったりします。
支持軸を使うにはこの機能動作を身につけることが基本となっていましたが、この機能動作を身につけることが難しいようで、2軸の「みぞおちから身体を捻る」動作は多くの方はなかなかできませんでした(なので軸トレーニングをするわけですが)😓
それが支持軸を一致させると自然に「機能動作」ができてしまうのです。
実は、「機能的支持軸」はそのタイプの支持軸の機能動作が無意識にできてしまう働きがあることがわかりました。
逆に言えば天才以外では大抵は支持軸が不一致状態なので、「機能的支持軸」のタイプの機能動作を行いますがそれは「身体的支持軸」には適していないので機能しない(上手く身体が使えない)と言うことになります。
簡単に説明すると「身体的支持軸」はゲームで言うところのハード(本体)であり、「機能的支持軸」はゲームソフトです。
ハードに合わないソフトではゲームが遊べないと言うことです。
最大のメリット
支持軸を一致させる最大のメリットは「重心操作」能力が非常に高まることです。
これは世間一般的にこの重要性は認識されていません。最も認識されている武術の分野でも支持軸が不一致状態での「重心操作」レベルで止まっている印象です。
支持軸を一致させた状態での「重心操作」が身につくと、
⚫︎身体の各部がバラバラに細分化される(脱力が深まる、骨の意識が高まる)
⚫︎全身のつながりができる(ダンスでは印象がまるで変わる)
⚫︎身体の起点が身体の中心からになる(視覚的に、触覚的に相手に反応されづらくなる)
⚫︎重心を移動する際にその場にとどまらせようとする無意識の反応が起きなくなる
のような変化が起こります。
これはスポーツやダンスなど分野問わずに「天才」と呼ばれている人々が身につけている身体です。
パフォーマンスのクラス分け
動作分析などをする際の目安として以下のようなパフォーマンスのクラス分けを個人的にしています。
SS級、S級では支持軸が一致しており、A級以下は支持軸が不一致です。
これはあくまでも本質的な能力(素の身体の使い方のレベル)のクラス分けです。
パフォーマンスの総合力となるとA級がS級を超えることがあります。
但し、同じカテゴリー(競技)内で同じ練習量・経験という条件設定にするとA級はS級に論理的に勝てないことになります。
これはそれだけ「支持軸一致状態」と「不一致状態」では上達率が圧倒的に異なるからです。
この上達率の違いが天才性の要因となっています。
❶SS級(支持軸一致)
▶︎S級能力+技術・経験
例)超一流アスリート、ダンサー
❷S級(支持軸一致)
▶︎➰軌動(上級)・機能動作(上級)・重心操作(上級)・骨の意識(上級)
例)1軸、3軸、4軸の天才さん
❸A級(不一致)
▶︎B級能力+機能動作・重心操作・骨の意識
例)一流アスリート、ダンサー
❹B級(不一致)
▶︎C級能力+技術・経験
例)一般プロレベル
❺C級(不一致)
▶︎身体的支持軸熟練+➰軌動
例)比較的運動が得意
❻D級(不一致)
▶︎身体的支持軸未熟練
例)運動が苦手
終わりに
機能的支持軸の発見により「4つの支持軸理論」を活用したワークやトレーニングの効果が飛躍的に向上することとなりました。
非常に興味深いことなのですがスポーツやダンス界のトップレベルを支持軸タイプチェックしてみるとその多くで支持軸が一致しています。
サッカーや野球など色々な要素が絡み合う競技では超一流と言われている選手でも不一致なケースがありましたが(それでもプレイの印象によって支持軸の不一致ということは予想できる選手が多くいました)、オリンピックの陸上競技などのシンプルな種目においては金メダリストは100%支持軸が一致しています。
「支持軸が不一致」ということは、それだけで大きなハンデになることは確かだと思います。