ロルフィングとは10回の施術で全身を整えるアメリカで開発された整体(ボディワーク)です。

「橈骨・尺骨の抜きポジション」の検証

はじめに

月4回開催の軸トレーニング研究会クラスではその時々に関心のあるテーマを探求しています。

先週の軸トレーニング研究会クラスにて指と身体をつかげる「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」を他動的にセッティングするとそれだけで身体が劇的に変わるということを発見しました。「合気モード」に入るというのもその一つです。

そこで今回の「軸トレーニング研究会クラス」ではセッティングなどを活用しながら「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」にどのような傾向があるのかを確認していきました。

正直な話。前腕の骨(橈骨、尺骨)の開発は最優先な部位かもしれません。

各指と橈骨・尺骨の関係

解剖学と経験的に前腕の骨である「橈骨」と「尺骨」の指との関係は、

⚫︎橈骨:親指、人差し指、中指
⚫︎尺骨:薬指、小指

と考えていました。

そこで「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」にセッティングしてから各指を掴んでもらい合気がかかるかを検証してみました。

「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」にセッティングすると程度の差はありますが、誰でも指合気を体験することができます。

「橈骨の抜きポジション」にセッティングして親指、人差し指を握ってもらったところ、指合気がかかり何の抵抗もなく相手を自由に動かすことができます。

それが中指だと指合気のかかりがかなり弱くなります。

小指では全くかかりませんでした。

次に、「尺骨の抜きポジション」にセッティングして小指を掴んでもらいますと指合気がかかります。

こうしたことから橈骨・尺骨と関係性が高いのは、

⚫︎橈骨:親指、人差し指
⚫︎尺骨:小指、薬指?
⚫︎橈骨・尺骨の両方:中指?

になりそうです。

※薬指などは確認はしていなかったので今度試してみます。

股関節との関係

「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」が腕以外の体幹や下肢にも影響していると感じていたので、これらの抜きポジションにセッティングしてから大腿骨を屈曲する動作で検証してみました。

抵抗大腿骨の屈曲動作

立位で片方の大腿骨(膝の少し上)に抵抗を加えてもらった状態で大腿骨を持ち上げる

何もしない状態だとなかなか大腿骨を持ち上げることができませんが、前腕の抜きポジションをセッティングすると当たり前のように持ち上げることができてしまいました。

セッティングを行うと見た目で明らかに軸が通ります。

「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」は手と橈骨・尺骨の位置についてのことですが、この位置が身体全身と関係している一つの証拠だと思います。

少しのポジションのセッティングで十分

「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」ともに大きく手首などを動かすとかなり特徴的な形になります。

当初セッティングでは大きくわかりやすく行なっていましたが、実際のスポーツやダンス、武術ではこれほどわかりやすくプレイすることはかなりまれです。

もしかしたら、ほんの少しのセッティングだけで効果はあるのではないかと考えて、セッティング時に関節の可動域を極力最小限で行なって見ました。

すると、合気上げでも指合気も可動域が広い時と変わり無く実施できました。

つまりは「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」はほんの少しの動きだけのセッティングで十分ということになります。

合気上げを力みなく抑えられる

大東流合気柔術の名人として知られる佐川幸義氏について書かれた書籍「透明な力」には抵抗力という記述があります。1番興味深いのは佐川幸義氏が晩年、ビンのキャップも開けるのにも苦労するような身体なのに弟子の両手首を軽く抑えると全く両手首を上げることができなかったというものです。

ふとこのことを思い出して試しに合気上げ(座技呼吸法)で「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッティングした手で押さるとどうなるかを検証しました。

やり方は普通にセッティングした手で押さえるだけです。

すると押さえる側はほぼ力を入れていないのに全く手が上がらなくなります。掴まれている側とすると動きだしを抑えられているような感触で全く力が出せなくなります。

試しに「尺骨の抜きポジション」にセッティングした状態で親指だけ相手の前腕(橈骨)に触れて抑えてみました。

構造的な座技呼吸法では抑え手の親指に橈骨を引っ掛けることで力学的優位性で相手を崩すのですが、それを意図的に押さえる側が直接的に親指のみで押さえるということです。

これも全く上がらなくなります。

構造的、力学的に有利な条件なのに掴まれる側は手を上げることができないのです。

確実になんらかの神経生理学的な現象が働いていると推定されます。

手のひらがより吸い付くようになる

簡単な触れ合気でもセッティングをするのとしないのとで検証してみました。

手のひら同士をくっつけて相手の手の吸い付き具合を確認します。こちらの手の気配や意図が少なくなればなるほど相手の手はこちらに吸い寄せられる傾向があります。

セッティングをするとこの吸い付きが格段に向上して簡単に相手の手がこちらの手に誘導されてしたがってくれるようになりました。

合気モード再び

前回突然「合気モード」になったトレーニングを実施してみました。

30秒もせずに「合気モード」に参加者全員なれました。

再現性があるということになります。

この「合気モード」になると合気をかけやすくなるのですが、さらに「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッティングを行うと意図せずに合気がかかってしまい完全に相手とつながってしまいます。

この「合気モード」の状態で「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッティングした手で抑えて見ました。

これは抑えられます。

お互いにセッティングするとセッティングの効果は打ち消し合うようです。

つまり、「合気」がかかるかどうかは相対的なものであり「合気」を武術の実践の場での主要な手段としては頼ることができないということを示していると思います。

お互いの実力が拮抗していたなら、やはり技術がある方が有利になります。

「合気」は非常に興味深い現象ですが万能でもなんでも無いということです。

立禅が楽にできる

「尺骨の抜きポジション」の手の形が中国拳法の稽古法である「立禅」に似ていたので久々に立禅の形を取って見ました。

かなり楽にできます。

▼立禅

参加者の方もやってもらいました。セッティングをしない状態では「しんどい」という声も聞かれましたが、「尺骨の抜きポジション」のセッテイングをすると一気に肩の力が抜けて指先から体幹のつながりができてしまいました。

▲でセッティングをすると股関節の動きも変わる事例をご紹介しましたが、やはり立禅でもその影響はあります。

立禅については20年ほど前の大学時代にはその存在を知っておりました。

その当時は「立禅を長く継続したら適切な身体使いが身につくのだろう」と思っていたものですが、こうしたセッティングの効果を確認するとそれは完全に間違っていることに気付かされます。

間違ったやり方で何時間も立禅を行なってもこのセッティングした状態にはならないからです。

つまりは、立禅も正しい身体の使い方ができてから初めて効果がでるということです。

これは師事している先生も言っていたことです。

しかし、立禅の形になって「尺骨の抜きポジション」のセッティングを行うと直後に肩の力が抜けて指先と体幹のつながりができるのは非常に面白かったです。

変化の大きさとしてはかなり微細な動きです。

でも、自身の身体でこのつながりが体験できているとその変化がより明確に見えるようになります。

自身の身体で体験しながら施術的なセッティングでの身体の変化を確認すると他者の身体を観る目がどんどん養われてきますね。

道具を通してもつながる

合気道の杖(じょう)を使って見ました。

お互いに杖の端を両手で掴んだ状態で一方が「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッティングするとセッテイングしていない側が自由に動かされてしまいます。

但し、セッティングをせっかくしても杖を動かす際にセッティングしたポジションを崩してしまうと全くセッティングの効果はでないようです。

少し難易度が高いようですね。

肩関節の抜きを組み合わせる

「合気モード」かつ「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッティングをした状態に「肩関節の抜きポジション」のセッティングも加えてみました。

さらに効果が高まります。

佐川幸義氏の逸話で身体を掴まれても少し身体を震わすだけで掴んだ側が大きく吹っ飛んだという話がありますが、身体の開発が進めばそういうことも普通にできるだろうということが容易に想像できました。

終わりに

5月、6月の半ばまでの「軸トレーニング研究会クラス(旧練習会クラス)」でかなり大きな発見があったと思っていたのですが、先週と今週ではそれが更なる飛躍が起こり、こちらの頭の整理ができない状態となっています。

「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」のセッテイングについてですが、以前のブログでは公表するかどうかは定まっていないとする旨を書きましたが、非常にもったいないのでWSやセミナーなどでもご紹介したいと思います。

当初はセッティングの技術を「盗まれる」という懸念があったわけですが多分うわべだけ真似してもその先には辿り着くことは難しいことがわかったからです。

また、色々な人にこうしたテクニックを紹介して精度をよりよくした方が「ロルフィング®︎のたちばな」的にもメリットが大きいと判断したことからでもあります。

これまで指導者が「これはすごい効果のあるやり方だ」と主張する方法をいくつか学んだことがありますが、どれも再現性が低いものでした。確かに求める効果や発想は素晴らしいのですが、他者に伝えることをしていないのでそのメソッドの再現性を高められていなかったのです。

そうなるとせっかくそのメソッドを紹介しても、それを習った人はそれほど価値があるとは思えません。

「価値のある」と考えている指導者と「それほど価値を感じない」と感じる生徒のミスマッチがこうして起こります。

全ては「教える」という行為をしないので精度が高まっていかないからです。

もし、こうした「セッティング」や「初歩的な触れ合気」などに興味ある方は7月開催の軸トレーニングWS「他者とのつながり①、②」に御参加下さい。

恐らくショッキングな体験ができると思います。

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