はじめに
“ロルフィング®︎のたちばな”では抽象的に考えられてきた「軸」というものをより理解と体感しやすい形に再構築した「支持軸」という考え方でロルフィング®︎個人セッションやムーブメント・セッションを提供しています。
「支持軸」には4つのタイプが存在しています。
支持軸が通った状態とは▼の足底の①〜④の部位に体重を支える点(支持点)を置き、全身が調和した状態(統合状態)を言います。
①〜④に支持点を置く支持軸を下記のように名称をつけています。
※( )内は略称です。
①内側軸(1軸)
②中間内軸(2軸)
③中間外軸(3軸)
④外側軸(4軸)
この「4つの支持軸」にはそれぞれの特徴が表れます。これらについてはこれまでの記事でご紹介してきましたので本記事では省略します。
本記事でご紹介したいのは「①・③」と「②・④」という奇数番目と偶数番目の支持軸での関係性についてです。
現在わかっていることは、
⚫︎橈骨優位と尺骨優位
⚫︎フットワークにおける身体の使い方の違い
の2点です。
「奇数番は橈骨優位」「偶数番は尺骨優位」
①内側軸(1軸)
③中間外軸(3軸)
は橈骨と大きな関係があります。
具体的に言えば“ロルフィング®︎のたちばな”で「橈骨の抜きポジション」と呼んでいる手首・前腕の使い方です。
▼の合気道(「内側軸(1軸)」)の手の構えに見られます。
この「橈骨の抜きポジション」をすると非常に動きやすくなるのが①と③の支持軸になります。
それに対して、
②中間内軸(2軸)
④外側軸(4軸)
は「尺骨の抜きポジション」と呼んでいる手首・前腕の使い方と関係があり、このポジションにすると②と④の支持軸の場合に身体が動かしやすくなります。
▼尺骨の抜きポジション
「尺骨の抜きポジション」は、太極拳や立禅の手によく見られます。
体格差があっても腕相撲で勝てる
ちなみに「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」は機能性が伴った状態のことを指します。
例えば、これらのポジションにして指を他者に全力で掴まれても適切に「橈骨の抜きポジション」「尺骨の抜きポジション」ができているならば相手を容易に崩すことが誰でも可能になります。
これは相手にこちらの動きが察知されにくくなり反応が一瞬遅れる為です。
これらのポジションが自由に使えると体格で上回る相手と腕相撲したとしても、前腕の操作で相手に勝つことも可能です。
これは大きな力がでる為というよりも、相手の想定していない身体の使い方によって全く筋力が発揮できない状態になる為です。
合気道養神館創始者である塩田剛三氏は大学の同期である柔道家の木村政彦氏と腕相撲をして「10戦10勝した」「互角の戦いをした」とされる逸話が残っていますが、恐らく塩田剛三氏は合気道の「橈骨の抜きポジション」を活用していたと推定されます。
「橈骨の抜きポジション」が自由に使えることは前腕が使えるということです。
塩田剛三氏の著書では「瞬発力」という表現がされていますが、「橈骨の抜きポジション」が自由に使えると「瞬発力」という表現がぴったりな感覚になります。
腕相撲というと肘の屈曲や肩関節の内旋の動きを伴いますが、橈骨を内側に回す前腕の回内の動きの方が圧倒的に行いやすいことが「瞬発力」という感覚を生む要因になっていると思われます。
橈骨が適切に使えると本当に反応が遅れるのです。ちなみに、これは尺骨側でもできます。
▼塩田剛三氏
▼木村政彦氏
フットワーク
これはフットワークでも①・③と②・④では真逆の身体使いが要求されます。
これは文章では表現しづらいので今回は省略しますが、かなり明確です。
バスケットボールなどで相手を抜こうとする場合などこれらの支持軸の特徴がわからないとせっかく練習しても全く上達できないということになります。
終わりに
支持軸の内側(①・②)と外側(③・④)ではなく、支持軸の奇数番目(①・③)と偶数番目(②・④)に手も足も真逆の使い方が要求される理由は現時点でよくわかりません。
足への特異的な施術をすることによって各支持軸の特徴が表れることから力学的というよりも、神経学的要因があるように思われます。
「4つの支持軸タイプ」を競技トレーニングや施術などに応用するとこれまでできなかった課題が呆気なく解決してしまいます。
但し、それは各支持軸の特徴を把握する必要があります。
ロルフィング®︎の10シリーズ(個人セッション)ではセッション内でじっくりと「4つの支持軸タイプ」の説明やトレーニングなどをご紹介しています。
また、2019年12月21日(土)、22日(日)開催の軸トレーニングWS「重心コントロール」基礎・応用では概論の説明・トレーニングをご紹介します。
WSにご興味ある方は▼のリンク先からご確認下さい。