ロルフィングとは10回の施術で全身を整えるアメリカで開発された整体(ボディワーク)です。

軸の正体シリーズ⑥:神経学的特性

はじめに

「ロルフィング®︎のたちばな」では軸を4つに分類(「4つの支持軸タイプ」)して現在考えています。

⚫︎内側軸:1軸(画像での①)
⚫︎中間内軸:2軸(画像での②)
⚫︎中間外軸:3軸(画像での③)
⚫︎外側軸:4軸(画像での④)

前回の「軸の正体シリーズ⑤」では力学的側面について説明しましたが、今回は神経学的側面についてです。

「4つの支持軸タイプ」を発見した当初は各タイプの特徴は全て力学的要因によるものだと考えていました。

それが、実は足裏の重心移動の距離という力学的側面だけでなく、神経系の影響もあることがわかってきました。

わかりやすい例で言えば「中間内軸(2軸)」で筋力トレーニングを行なうと筋力を出力しやすいということです。

これは「力が入れやすい」という主観もあるのですが実際に腕立て伏せなどでは回数が増加します。

今回はこうした各軸の筋出力という神経学的な影響を説明したいと思います。

各軸の特徴

⚫︎内側軸(1軸):腕を伸ばしていく方向に筋力を発揮しやすくなる。力み易い。
⚫︎中間内軸(2軸):筋力全般が発揮しやすい
⚫︎中間外軸(3軸):体幹の筋出力はしやすいが、四肢は力が入りにくい
⚫︎外側軸(4軸):そこそこ筋力は発揮しやすいが、体幹を固定しにくい

①内側軸(1軸)

日本人の文化的な身体使いである「内側軸(1軸)」の筋力発揮の特徴は、腕を伸ばしていく方向に筋力を発揮しやすいことです。

わかりやすいのが日本剣術の剣を振る動き(▼画像動画)です。このような動作で筋力を発揮しやすくなります。

日本と西洋ではノコギリの使い方が真逆ということはよく指摘されることです。

西洋のノコギリは押して切り、日本では引いて切ります。

「内側軸(1軸)」ではこの日本式の引いて切る動作で筋力が発揮し易くなるのです。

「内側軸(1軸)」の特徴が悉く日本文化に当てはまるのが面白いですね。「内側軸(1軸)」が日本人の文化的身体使いということは個人的な仮説ですがかなり信憑性が高いと思われます。

ちなみに、よく日本人はノコギリを引いて扱うので「屈筋優位」だと指摘されることがありますが、実際にノコギリを引く際には屈筋である上腕二頭筋ではなく、肘を伸ばす上腕三頭筋が使われますのでこの指摘は妥当ではありません。

「内側軸(1軸)」で気をつけるべき点は腕を伸ばしていくなどの特定の動作以外では肩周りを力ませやすいという点です。

肘を曲げる動きであるアームカールでは力が出しづらいのに加えて、肩周りの筋肉を力ませる反応がでます。

この肩を力ませる反応がでるのは「内側軸(1軸)」が顕著です。

よく日本ではウェイトトレーニングをすると

⚫︎筋肉が固くなる
⚫︎感覚が鈍る

という声が上がりますが、その理由がこの「内側軸(1軸)」の身体の使い方をしているからということで説明がつきます

「内側軸(1軸)」だと、そもそも筋力が発揮しづらい特徴があり、さらに剣を振るような特定の動作以外で筋力を発揮しようとすると肩周りを力ませる傾向があることにより熱心にウェイトトレーニングを行なうとどんどん余計な力みを身につけやすいということが考えられます。

現在では海外のトレーニング理論の書物が多数翻訳されていますが、その中にウェイトトレーニングなどの筋力トレーニングを行なうと「筋肉が固くなる」「感覚が鈍る」といった記載は全く見たことがありません。

「内側軸(1軸)」以外の支持軸を使う場合にはおそらくこのような筋力トレーニングのネガティな効果は無いか、もしくはかなり影響が少ないことが予想されます。

ちなみに「内側軸(1軸)」では肘を伸ばす方向に筋力が発揮しやすいと述べましたが、腕立て伏せには当てはまりません。

単に肘の伸ばす動作で筋力の発揮がしやすくなるわけではなく、「剣の振り」というような極限られた動作でのみ筋力発揮がしやすくなるようです。

②中間内軸(2軸)

「中間内軸(2軸)」は白人の文化的身体使いです。

この支持軸は四肢を使った筋力全般的に発揮がしやすいのが特徴です。

この支持軸は本当に筋力発揮がしやすくなります。

例えば腕立て伏せをする際に「中間内軸(2軸)」で行なうのと「内側軸(1軸)」で行なうのではフォームやスムーズ差がまるで違ってしまいます。

「中間内軸(2軸)」だと身体が真っ直ぐになりやすくフォームがキレイかつ安定します。

さらにトレーニング中かなり快適なのです。快感といってもよいでしょう。筋力発揮する際に充実感があります。

そして、回数を反復して限界近くになりしんどくなってもギリギリまで頑張れるのです。

これが「中間内軸(2軸)」以外の支持軸だと頑張ることができません。

そして、ギリギリまで追い込んだ際の身体の感覚としては身体がより動きやすくなる感覚です。「内側軸(1軸)」で起こる身体が固まるような感覚は全くないのです。

こうした比較からウェイトトレーニングで「身体が硬くなる」「感覚が鈍くなる」といった感覚が生じるのは「内側軸(1軸)」が要因という考えへの信憑性が高くなります

「内側軸(1軸)」と「中間内軸(2軸)」の関係で面白い話があります。

基本毎週火曜日に開催している「軸トレーニング研究会クラス」の参加者の方で前腕の使い方を向上させる為に足半草履を活用した腕立て伏せを紹介しました。

この方は、家にて「内側軸(1軸)」のポジションで腕立て伏せを行なっていたようですが、その際に「しんどさ」を感じていたそうです。

「軸トレーニング研究会クラス」にて今回紹介している各支持軸の神経学的な特徴について探求し、筋トレには「中間内軸(2軸)」がよさそうとわかってから、「中間内軸(2軸)」のポジションで腕立て伏せを行なってもらったところ、

「楽しい」

という感想がでました。

「内側軸(1軸)」だと行なうのがしんどかったけども、「中間内軸(2軸)」ではしっかり力がでて楽しいらしいのです。

これは個人的にも実感していることです。

筋力を発揮することに快感を感じることができます。

ウェイトトレーニングがどの文化圏で発達したのかは不勉強でわかりませんが、白人文化である「中間内軸(2軸)」から産まれたとすると支持軸の特徴に合致します。

この点は日本人の『ウェイトトレーニングを行なうと筋肉が固くなる、感覚が鈍る』という意見と比較すると非常に面白いと思います。

③中間外軸(3軸)

「中間外軸(3軸)」はラテン系の文化的身体使いです。
※ラテン系というのは印象でしかなく、正確な知識は持っていませんが^^;

特徴としてはなんといっても「体幹」です。

力学的特徴としても体幹の可動性が自然とでる支持軸ですが、筋力発揮という視点でも体幹の筋力が非常に発揮しやすくなります。そのかわり、四肢は「4つの支持軸」の中で最も筋力発揮がしにくいです。

但し、四肢での筋力発揮はしにくいのですが「内側軸(1軸)」のように四肢で筋力発揮をする際の肩周りなどの余計な力みは生じません。単に力が入れにくいということです。

なので、この「中間外軸(3軸)」の文化圏の人たちはウェイトトレーニングがあまり好きでない傾向があるかもしれませんが、おそらくですが日本人のように「ウェイトトレーニングをすると筋肉が固くなる、感覚が鈍る」という観点はないと推定されます

「中間外軸(3軸)」は体幹の筋力の発揮がしやすいので、この支持軸のポジションで体幹トレーニングを行なうと非常に快適だと思われます。これは体幹固定系でも体幹可動系でも同様です。

実際に個人的にインターバルトレーニング(HIIT)としてシットアップ(起き上がり腹筋)を定期的に行っているのですが、「4つの支持軸タイプ」の中で「中間外軸(3軸)」が回数、セット数をこなすことができます。

インターバルトレーニングのやり方は【20秒トレーニング→休憩10秒】を最大8セット行うのですが、「中間外軸(3軸)」以外の支持軸では6セットで限界になります(20秒間反復し続けることができなくなる)。それが、「中間外軸(3軸)」では8セットを完遂できるのです。

面白いのは他の支持軸で限界になってからポジションを「中間外軸(3軸)」にすると再度20秒間動き続けることができるという点です。

「中間外軸(3軸)」は、

⚫︎体幹の筋力発揮がしやすい
⚫︎四肢の筋力発揮がしにくい
⚫︎苦手な四肢のトレーニングでも余計な力みは生じない

という特徴があるので、筋力トレーニングなどのクーリングダウンとしてこの支持軸ポジションで筋力トレーニングを行うと力みなどの悪影響を防止する可能性があります。

「内側軸(1軸)」を文化的身体使いとする日本人にとっては行う価値はありそうです。

この「四肢の筋力発揮がしにくい」という点を認識することは筋力トレーニング以外でも非常に役立ちます。

それは「施術」です。

「施術」ではテクニックの種類は問わず、接触部位(大抵は四肢)は施術を受ける側の防御反応を起こさない為に物のようにして使いたいのです(身体の道具化)。

この身体の道具化を引き出す際に「中間外軸(3軸)」のポジションが役立ちます。

ロルフィング®︎の個人セッションにて最近では「中間外軸(3軸)」のポジションを使うことが増えました。このポジションと他の3つのポジションを比較すると「中間外軸(3軸)」にした途端に受け手の身体の反応が進みます

手で触れていると『ビリビリ』とした振動が大きく表れるのです。

当初は「4つの支持軸タイプ」のどこで施術を行なってもそれほど大差はないだろうと考えていたのですが、神経系の四肢の筋力発揮がしにくくなるという特徴を知ることにより、「中間外軸(3軸)」で施術を行うという理由づけができました。

この理由づけは何か行動を起こす際に非常に重要になります。たとえ効果がでたとしても、効果が表れる要因がわからないと人間はその現象を素直に認めることができません。

「4つの支持軸タイプ」の特徴を1つ1つ把握していくと色々なジャンルへの応用がしやすくなる一つの例ですね。

④外側軸(4軸)

「外側軸(4軸)」は黒人の文化的身体使いになります。

この支持軸の神経系の特徴は

⚫︎四肢はそれなりに筋力発揮がしやすい(「中間内側(2軸)」ほどではない)
⚫︎筋力発揮をしても肩周りの力みは生じにくい
⚫︎体幹はいつも動的

になります。

一番の特徴は「体幹が動的」であること。筋力トレーニングなどで筋力を発揮をしていても体幹が動こうとするのです。スクワットの動作で他者に身体を上から下に多少の抵抗を加えてもらうと非常にわかりやすいのですが、体幹が左右にゆらゆらとする感覚が生じます。

「外側軸(4軸)」の力学的特徴としては「移動」でした。その場にとどまるのではなく左右に動くのにかなり適しているのですが、筋力発揮に関しても同じ傾向を持っているのです。

なので体幹トレーニングでは体幹の可動性を引き出す目的では有効ですが、固定する目的のトレーニングでは不適切だと思われます。

四肢の筋力をそこそこ発揮しやすいのでこの支持軸を使って筋力トレーニングをするのは悪くはないのですが、敢えてこの支持軸を選択する理由は現在のところ思い浮かびません。

選択できるなら筋力トレーニングでは「中間内軸(2軸)」を選んだ方が合理的です。

終わりに

前回と今回の記事では「4つの支持軸タイプ」の力学的特性と神経学的特性を説明してきました。

「力学的側面」と「神経学的側面」に各支持軸に同じような特徴が表れるのは非常に興味深いと思われます。

これらの各支持軸は先天的で変えられないものではなく、後天的にいくらでも習得できる類のものです。

各支持軸タイプには、

⚫︎文化
⚫︎人種
⚫︎個人
⚫︎各競技
⚫︎各競技技術

といったようにそれぞれのカテゴリーに適切なタイプが存在します。

理想的には一つの「支持軸タイプ」に絞るのではなく、メインの支持軸タイプを決めて、他の3つの体現度を高めること(ミックスさせる)だと考えられます。

今後はこうした観点を含めて更に探求していきたいと思います。

「4つの支持軸タイプ」は「ロルフィング®︎のたちばな」が発見した考え方です。

ロルフィング®︎個別セッションや軸トレーニングWS(テーマによります)にてご紹介させていただいていますのでご興味ある方はお問合せ下さい。

2019年12月21日(土)、22日(日)に軸トレーニングWS「重心コントロール」:基礎・応用では「4つの支持軸タイプ」がテーマとなります。

軸トレーニングWS「重心コントロール」の詳細は▼リンク先をご覧下さい。

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