はじめに
「4つの支持軸タイプ」で考えると人種や文化によって身体の使い方は明確に異なります。
①日本人は「内側軸(1軸)」
②白人、アジア圏は「中間内軸(2軸)」
③ラテン系は「中間外軸(3軸)」
④黒人は「外側軸(4軸)」
の傾向があります。
上記の①→④にかけて体幹が動かしやすくなる特徴があります。
面白いのがロルフィング®︎をはじめとした身体へ働きかけるボディワーク系の多くは②のカテゴリーの文化圏で開発されているということです。
これは②のカテゴリーに属する文化圏が多いのも理由の一つだと思われますが、体幹の可動性や脱力のし易さという視点でみると、③と④は基本的に身体へのアプローチを改めてする必要性が薄いのでボディワークが発達しないのではとも考えられます。
実際に③の「中間外軸(3軸)」、④の「外側軸(4軸)」をある程度使えるならばウォーキングなどの日常の活動量を増やすだけで身体は自然に脱力し、整います。
改めてストレッチなどで身体ほぐす必要性がないということです。
これは実際に「中間外軸(3軸)」「外側軸(4軸)」を疑似体験すると明確に身体でわかります。
この2つの支持軸を疑似体験した状態でウォーキングをするとどんどん体幹がゆるみ、可動性がでてきます。
これが②「中間内軸(2軸)」や①「内側軸(1軸)」だとそこまで身体はゆるみません。
こうした特徴から②の白人やアジア文化だったり、①の日本では多くの身体へのアプローチ方法が開発されると考えると納得がいきます。
「中間内軸(2軸)」タイプのボディワーク
ちなみに②「中間内軸(2軸)」の文化圏から産まれた代表的なボディワークは、
⚫︎ロルフィング®︎(ストラクチュラル・インテグレーション)
⚫︎フェルデンクライス・メソッド
⚫︎アレクサンダー・テクニーク
⚫︎ピラティス
⚫︎ヨーガ
⚫︎ジャイロキネシス
⚫︎ジャイロトニック
などが真っ先に思いつきます。
そして重要なことは、これらはあくまでも「中間内軸(2軸)」の価値観を満たす為に開発されたもので必ずしも他の支持軸文化に属する人々に恩恵を与えるかは定かではないということです。
例えば、ヨーガは日本でも大変人気の高いボディワークですが、苦痛を感じながら実践していたり、むしろ身体を痛めてしまう人が少なくありません。
これは「内側軸(1軸)」と「中間内軸(2軸)」の特徴を比較すると理由は明確で日本人の文化的身体使いである「内側軸(1軸)」では基本的に体幹の可動性はでないのです(股関節から足にかけて動かしやすい)。
それに対して「中間内軸(2軸)」はみぞおちから足にかけて動かしやすく、みぞおちから脚を使うことを前提にしたエクササイズだと推定でき、それは体幹の可動性に乏しい日本人には合わないのです。
逆に、頭部から下の部位が動かしやすい「中間外軸(3軸)」、身体全体が動かしやすい「外側軸(4軸)」ではそもそも「中間内軸(2軸)」よりも身体の可動性があるので改めて身体を「中間内軸(2軸)」の観点での身体を使えるようにするアプローチは必要ありません。
例えば、ピラティスやジャイロトニック、ジャイロキネシスでは背骨を動かすエクササイズがあり、バレエなどの「中間内軸(2軸)」タイプのダンスなどに活用されています(そもそも創始者がバレエ経験者)。
ですがこれらのボディワークは体幹を自由に使うことが要求されるストリートダンス系にはあまり役に立たないのです。
何故ならストリートダンス系は「外側軸(4軸)」であり脊柱がただ動かせればよいということでは全く条件に合わないからです。
「中間内軸(2軸)」は身体を分割して使うアイソレーションの特徴があります。
それに対して「中間外軸(3軸)」「外側軸(4軸)」は体幹を連動(インターロック)させます。
「アイソレーション」と「インターロック」は全くの別の質の動きです。
そして、面白いのは「中間内軸(2軸)」の文化圏で開発されたボディワークは基本的に「アイソレーション」を高めるアプローチがほとんどということです。
終わりに
今回は体幹の可動性という視点で説明しましたが、実際には各支持軸によって筋力の発揮のしやすいも異なります。
個人的に20年以上、身体の開発方法について模索を続けてきましたがわかってきたのは、身体の使い方の文化圏(4つの支持軸タイプ)によって有効な身体へのアプローチは異なるということです。
日本人にとって有効なボディワークが海外で有効である保証はありません。また、海外で有効とされたボディワークが日本で有効という保証もないのです。
では、支持軸の文化圏が異なるボディワークは活用できないのかというとそうではありません。
そのボディワークが産まれた国の文化的な支持軸を身につけた上でそのボディワークを行えばよいのです。
この「4つの支持軸タイプ」を身につけるトレーニング方法はすでに開発できています。
今後の課題としてはそのトレーニングの成果をよりあげる方法を開発することですね。