「ゼロ軸」とは異なる状態
現在、マッサージガンの一種である「ハイパーボルトプラス」を利用して身体への影響について探求しています。
先日の「軸トレーニング研究会クラス(軸トレ研究会)」では全身に「ハイパーボルトプラス」と「ハイパーボルト」を利用して全身にワークを行いその反応を観察して見ました。
以前のブログ記事にてマッサージガンでのワークを受けると擬似的な「ゼロ軸」状態になると言いました。
マッサージガンで手や腕にワークを行った後、壁などを押して見ます。
すると身体を固定することができなくなるので踏ん張ることができずに壁から身体がのけぞるという現象が起こります。
これは4つの支持軸をOFFにした状態「ゼロ軸」の特徴の1つです。
この現象が起こるので当初はマッサージガンのワークによっても「ゼロ軸」に近い状態になるかと考えていました。
「ゼロ軸」の別の特徴には、『他者から身体を左右に動かされる(外乱を加える)と全く抵抗できなくなる』という状態があります。
そこで、更に外乱を加えて見ました。
するとしっかり耐えることができました。
つまり、マッサージガンの擬似的「ゼロ軸」化は、実際の「ゼロ軸」とは根本的に異なる現象ということがわかりました。
呪い
マッサージガンのワークによる影響としては、身体の反応の抑制(反応抑制効果)があります。
マッサージガンでワークした後には身体をまとめる(統合)系の施術の効果が全く見られなくなります。
また、「軸」を意識することによって生まれる身体能力の向上が全くできなくなります。
これは、軸の力が全て使えなくなるということです。
軸の力の一つである「合気」も全く起こらなくなります。
これはマッサージガンの振動により筋肉の反応が抑制されてしまったと個人的には考えています。
仕事としてマッサージガンを活用しているトレーナーやセラピストからこの反応抑制効果を問題視しているような情報を見たことはありません。
おそらく、そうした職種では特に問題を感じていないことがその理由でしょう。
マッサージガンによる筋肉がゆるんだ状態を個人的には「弛緩状態」と呼んでおり、「脱力」とは根本的に異なると考えいますがこれはマッサージガンによる反応抑制効果の為です。
ロルフィング®︎では単に筋肉をゆるませるだけではロルフィング®︎の目的は達成させることはできません。
ロルフィング®︎では筋肉をゆるませてから更に「統合」という段階を踏みます。
この「統合」をマッサージガンの反応抑制効果が邪魔をしてしまうのです。
ロルフィング®︎の施術者なのでこの反応抑制効果の問題について気がついたのだと思います。
軸トレ研究会では、身体の反応を全く起こさなくさせてしまうマッサージガンによる反応抑制効果を「呪い」と自然的に表現するようになりました。
呪いは最低2時間継続する
以前のブログではこの「呪い」の時間は45分程度継続すると述べました。
これは間違いだったことが判明しました。
45分ほど経過すると個人差がありますが壁を押しても耐えることができるようになります。
但し、客観的にその光景を見るとやはりおかしく目に映ります。
どこか力が抜けているように感じるのです。
これは軸トレ研究会の参加者全員が感じたことですのでかなり明確に見えるようです。
実際に合気上げなど「合気」系のワークで確認すると全く効かないことがわかりました。
45分では完全には「呪い」は解けないということです。
その後、時間をおいて2時間とちょっと経過した段階で再度確認したところ、通常に近い段階まで回復してきました。
このことからマッサージガンによる「呪い」は2時間は継続するということです。
おそらくはまだ認識できていない「呪い」の影響を完全にリセットさせるには更なる時間を要するとことが考えられます。
ロルフィング®︎には使えない
「呪い」が少なくとも2時間継続するということがわかったのでロルフィング®︎の個人セッションにはマッサージガンは使用できないと判断しました。
「呪い」が働いている部位には手での施術の効果が低下すること、動作改善(軸の力)も抑制されてしまうからです。
「呪い」は施術者にも働く
軸トレ研究会にてマッサージガンの実験を始める前に判明したことは、「呪い」はマッサージガンを握る施術者にも働くということです。
マッサージガンを実際に使って見るとその振動は握る手に伝わります。
この振動により施術者のマッサージガンを握る手にも「呪い」が働いてしまうのです。
「呪い」が働いた手は繊細な施術のテクニックに大きく影響することが考えられます。
施術者にとって使用する施術のテクニックによってはその効果を著しく低下させる可能性があるわけです。
「ロルフィング®︎のたちばな」で活用している施術テクニックは軸の力を使ったものなので、受け手側だけでなく施術者側の問題としてもマッサージガンをロルフィング®︎のセッションで使用することはできないということになります。
軸トレーニングを組み合わせる
こうした「呪い」がわかってもマッサージガン(特に機能上位機種である「ハイパーボルトプラス」)の筋肉を弛緩させる効果は捨てがたいものがあります。
1週間、時間を見つけて前腕に試しましたが前腕の動きがこれまでにないほど自然に動くようになっています(但し単にゆるんだだけで意識は通っていない)。
要素還元主義的に考えると筋肉を弛緩させてから軸トレーニングのような意識を通す取り組みを加えるともしかするとマッサージガンによる弛緩作用を活用できるかもしれないと考えられます。
今後は前腕を対象として、マッサージガンと前腕の軸トレーニングの併用を試していこうと思います。
ひとまず、マッサージガン直後と「呪い」が解けたタイミングで同じ軸トレーニングを実施しましたが、意識の通りがまるで異なる感覚があります。
睡眠をとる前
マッサージガンの「呪い」はあくまでも統合を重視するロルフィング®︎や身体能力を高めるトレーニング、競技目線のものです。
身体の回復や痛みなどの治療の目的には現時点でどの程度マイナスの効果があるかはわかっていません。
軸トレ研究会にてマッサージガンを全身に受けた参加者(2名)が言うには「そのまま寝たい」とのことです😁
⚫︎筋肉が弛緩していること
⚫︎副交感神経が刺激されていると考えられること
⚫︎「呪い」の時間は長くとも6時間継続することはないと考えられること
から睡眠をとる前にマッサージガンを行うことによって身体の回復に役立つと考えられます。
なのでマッサージガンを使うタイミングは睡眠前の一択です‼︎
「ゆるんだ」という主観の罠
「弛緩状態」「脱力状態」ともに当てはまることですが主観的に身体が「ゆるんだ」「身体が動かし易くなった」ということはパフォーマンスの向上を保証しません。
主観的に良い状態だと感じていても実際には筋出力が低下していていたり、軸の力が使えない状態になっている場合があります。
マッサージガン
水中
「ハイパーボルト」をご紹介していただいた軸トレ研究会の参加者の方から
水泳選手が筋肉の温度を高める目的で「マッサージガン(ハイパーボルト)」を使っているケースがある
と言うことを聞きました。
水泳では粘性の高い水の中で動くことになりますので地上とは条件が異なります。
陸上で行ういかなる競技前にもマッサージガンの利用は全くオススメできないのですが、「水中」という条件ではまだ影響が変わるのかもしれない可能性があります。
もしかすると「水中」ではマッサージガンの「呪い」が「福音」に変化するかもしれません。
そうなるとしたら非常に面白いですね😁
終わりに
マッサージガンを入手してから2週間ほどですが、色々なことがわかってきています。
マッサージガンがどのような用途で役に立つかどうかは、今後わかってくると思いますが、身体の理解につながるのは確かですね。