日本人はやはり手足から動き出すと能力が発揮できる

最近は、ブラジリアン柔術の対策と今月のWSに向けて「末端主導体幹操作」系のトレーニングに力を入れています。

「末端主導体幹操作」とは手足といった末端から動きだし、結果的に体幹を使う身体運用法です。

具体的に言うと▼画像の赤色の部位+頭部、尾骨を末端と定義します。なので指から動き出してもよいですし、股関節の抜きポジションの表という身体運用では尾骨で体幹を操作することとなります。

一般的に小手先芸などと手足のみの動きは嫌われる傾向がありますが、これは体幹を固定してから手足を使う為です。

日本人の多くは「4つの支持軸」で言えば「内側軸(1軸)」を先天的に身につけています。この「内側軸(1軸)」で身体を扱う場合に「末端主導体幹操作」を行うことで重心がその末端に引きずられて結果的に「予備動作が無い動き」や「重心の運動量を利用した打撃」「居着かない動き」になります。

日本人はスポーツやダンスが苦手な印象があります。人口比で世界と比べて見ると人口の割にスポーツは強くありません。競技人口に比例してその競技力は比例する傾向がありますが、この傾向が日本には当てはまらないのです(例えば、アイスランドは人口3000万人と言われていますがサッカーなどのランキングは日本よりも上位です)。

この理由は体格やフィジカルと言われることがありますが、個人的には日本人に適した「支持軸(内側軸)」を上手く扱えていないからだと考えています。

明治維新以降、日本は急激に西洋化に向かったとされています。

現在では日常生活全般が西洋的になっています。

ですが、身体のOS(オペレーティング・システム)と言える支持軸自体は「内側軸(1軸)」であり明治維新以前と変わりは無い状態でありながら、支持軸の使い方は西洋化してしまっているのが日本人がスポーツやダンスが苦手とする根本的な理由ではないかと思うのです。

実際に「4つの支持軸」をトレーニングするとよくわかりますが日本人の支持軸である「内側軸(1軸)」とその他の支持軸ではあまりにも大きな違いがあります。

一覧にすると▼のようになります。

①内側軸(1軸):末端主導体幹操作(手足頭からの始動):日本人
②中間内軸(2軸):体幹主導末端操作(体幹の捻り):白人、多くのアジア人
③中間外軸(3軸):体幹主導末端操作(体幹の屈曲・伸展):ラテン系
④外側軸(4軸):体幹主導末端操作:(体幹の側屈)黒人

日本の生活スタイルが西洋化していますが支持軸を機能させる特徴的な体幹の動きができているわけでもありません。動く際に体幹を固定させてしまってから末端を使う動作となってしまいます。この「体幹を固定してしまう」というのが西洋の影響だと考えられます。

実際に日本人の「内側軸(1軸)」は体幹は固定してはなりません。神経生理学的に体幹は手足などの末端の動きについて行くようになっているので、素直に体幹が手足についていく動作ができればそれだけでパフォーマンスは高まるのです。

「内側軸(1軸)」を機能させる「末端主導体幹操作」を身につけるメリットは、体格差を克服できるということ。

動きの予備動作が無くなるので相手にこちらの動きを察知されにくくなる為に多少の体格差があったとしても対応ができるのです。

個人的な体験ですがブラジリアン柔術の道場で100キロを超える体格の方が居られます。練習として打ち込みという柔道の投げのような練習もブラジリアン柔術では頻度は低い?ですが行います。

100キロを超える方とこの打ち込みを行った時に「末端主導体幹操作」のメリットをわかりやすく体幹することができました。

僕自身が体重が現在92キロありますがそれでも10キロ以上の体重差があるとなかなか相手を崩すことは難しくなります。

それが容易に崩せるのです。

前腕を始動させ全身を統合させた「末端主導体幹操作」の動きをすると相手の抵抗感がなく崩すことができます。

もちろん打ち込みなので相手の方が抵抗することはないのですが、それでも体重差がある場合、どんなに体重を乗せても、筋力でなんとかしようとしてもなかなか崩すことはできないのです。

実際にはブラジリアン柔術の先生はこの「末端主導体幹操作」という言葉こそ使いませんが、この身体運用をしています。でも生徒はこの概念がないので習ってもすぐにはできません

でも、白人系の「中間内軸(2軸)」で身体を扱っている方は習ったフォーム通り行えばある程度上手くいきます。つまり、技を習得するのは「中間内軸(2軸)」の方が有利です。

但し、「中間内軸(2軸)」では筋力の比率が「内側軸(1軸)」よりも高まるので相手が反応しやすくなります。その為に体格差を克服するのはかなり難しいということになります。

これが、相手に反応させない「内側軸(1軸)」との違いです。

もちろん、これがスパーリングや試合になるとまた話は変わってきます。相手も崩されないように、投げられないように抵抗しますから、技術として「末端主導体幹操作」を身につけないと上手くはいかないでしょう。

ブラジリアン柔術は今では西洋由来のレスリングのテクニックも取り入れていますが、もともとは日本の柔道が起源とされています。

レスリングと柔道(もともとは古武道としての柔術)ではテクニックの考え方がやはり異なる印象です。

レスリングは筋力の要素が大きく、柔道は相手に反応されずらい身体運用をベースにしているように感じます。

道場ではレスリング式のタックルを習いますが、身体のバネを使って相手を倒すという感じですが、個人的にはしれっと手からの「末端主導体幹操作」で相手を崩しています。

「末端主導体幹操作」でタックルを行うと努力感がほどんどないということ

そして相手が素直に倒れてくれます。

ロルフィング®︎の個人セッションではラグビー選手などにこのタックスを指導させてもらったことがありますが、かなり簡単に体勢が崩れるので驚いて喜んでもらっています。

ラグビーなどでは相手がこちらに突撃してきた時に腕の「末端主導体幹操作」で相手の方向をずらすだけでもかなり役立つと思います。実際に受けて見ると「末端主導体幹操作」とそうでない感触が全く異なるのがわかります。

実は日本人の「内側軸(1軸)」は前方移動では突破力があるけども、横方向への移動は苦手だと最近までは考えていたのですが、現在では横方向も問題無く移動できることがわかってきました

もちろんキーワードは「末端主導体幹操作」です。

この「末端主導体幹操作」は一般的に身につけることが非常に難しいものです。日本の伝統的武道に鍛錬法として断片的ですが身につける方法が含まれていますが、あくまでも断片的です。

生活スタイルが江戸時代ならいざ知らず、現代の西洋化されたスタイルでは成人してから後天的に「末端主導体幹操作」を身につけることは専門的なトレーニングをしない限りには不可能に近いことだと思います。

少なくとも確実性はないことだけは事実です。

また、「末端主導体幹操作」をトレーニングするメリットの一つは体幹が大きく開発されることです。

最近では体幹の可動性を引き出すトレーニングに注目が集まっていますが、「末端主導体幹操作」をトレーニングすることにより、前者のトレーニングでは引き出せない効果が産まれます。

僕自身、ストリートダンスの体幹の開発トレーニングである「インターロック・エクササイズ」を集中的にトレーニングしてきたのでこのあたりはよく実感できています。

2020年2月23日(日)、2月24日(月・祝)軸トレーニングWS「末端主導体幹操作」を開催します。

この「末端主導体幹操作」のトレーニングは「ロルフィング®︎のたちばな」以外では開発されていないと思われます(そもそも存在が知られていない)。

興味ある方は是非ご参加下さい。日本人なら参加して損は全くないと思います。

詳細は▼リンク先を御覧下さい。