「メニューの選び方」はこちらを▶︎クリック

立禅で肩甲骨の内側から腕がつながった状態(立甲)を身につける

先日のロルフィング®︎の個人セッションでのこと。

立禅と呼ばれる中国武術系の鍛錬法に「尺骨の抜きポジション」「橈骨の抜きポジション」を活用したところ肩甲骨の内側から腕がつながった状態になりました。

▼立禅とはこのような稽古法

立禅に「尺骨の抜きポジション」を活用する方法は軸トレーニングWS「他者とのつながり」や「軸トレーニング研究会クラス」で行なっていましたが、「橈骨の抜きポジション」を活用したのがこれまでなかった点です。

「尺骨の抜きポジション」の特徴としては小指から脇にかけてのラインが明確化して背中の筋肉である広背筋が活性化する感覚があります

「橈骨の抜きポジション」の特徴としては親指から肩にかけて脱力が自然に生じます

両者を行うと腕の上下にラインが通るのでやはり両方とも実施すると相乗効果があるようです。

驚いた点として明確にクライアントさんの肩甲骨の内側が感じられたことです。

実際には背中側であり視覚的には見えない肩甲骨ですが感覚的に内側が感じれらるのです。

こうのような状態になると直感的に肩甲骨と腕がつながっていると感じられ、非常に腕がキレイになります。

この状態を見てかなり驚いてしまったので背中の肩甲骨の状態を見せていただいたのですが、肩甲骨が背中側で立った状態である「立甲」になっていました。

「立甲」とは野球などの投げる動作で重要になるゼロ・ポジションを活用するのに必須の身体の使い方です。

ゼロ・ポジションとは?

肩甲骨の肩甲棘と上腕骨のラインが一致した状態。肩内部に存在する4つの筋肉であるローテーターカフ(回旋腱板)に捻れが生じずに構造的に負担がかからないポジションとされている。

▼ゼロ・ポジション

▼実際の競技でのゼロ・ポジションを使ったプレイ

最近では四つんばい状態で肩甲骨を立てる「立甲」が知られるようになってきました。

▼ブルース・リーの四つんばいでの立甲

但し、個人的にはこのような四つんばいでの立甲はおススメしていません

なぜならあまり意味がないからです。

大抵、形だけ肩甲骨が立っているだけなのでスポーツやダンスに全く活かされていないことが多いのです。

数名のクライアントさんからも

「立甲ができるようになった」
「でも、これって何に役立つんですか?」

という言葉を実際に聞いています。何かパフォーマンス向上に役立つだろうと取り組んで実際にできてみても何も競技のパフォーマンスは変わらなかったという事例です。

四つんばいだと見た目だけなら体質的にしやすい人はすぐにできてしまいます。でもただそれだけでパフォーマンスは向上しません。

逆のケースで「(見た目だけの)立甲は意味ないよ」という僕の発言を聞いた知人からは

でも、「できない」より「できた」方がいいじゃないですか?!

という声をもらったことがあります。

正にこの言葉は示しているのですが「立甲」にはこの見た目に依存してしまう傾向があるのです。

パフォーマンスには関係がないけど「自分は何かすごい」という思いを抱きやすい。見た目だけの立甲の問題点はここにあります。

自己満足に浸れてしまうのです。

個人的には見た目だけの立甲は「宴会芸だ」と常々発信していますがこうした自己満足に浸るリスクがあるからです。

また、ロルフィング®︎やセミナー、ワークショップにて身体の使い方の指導を仕事にしている身として、競技パフォーマンスを向上させる目的で取り組んでいるのに、そのパフォーマンスに何も寄与しない取り組みをすることは単なる時間の浪費ではないかという立場です。

こうしたことは数年前からブログで発信してきました。そして、スポーツやダンスのパフォーマンスに直結した「機能的な立甲」が必要ということも。

今回、ロルフィング®︎の個人セッションで確認できた立禅で立甲を身につける方法は、パフォーマンスを向上させる機能的な立甲の養成に対してかなり再現性が高いのではないかと感じています。

立禅で立甲を要請する1番のメリットとしては行なっている人自身が機能的な立甲になっているかを感覚で確認しやすいという点です。

どういうことかと言うと立禅の腕の形を見様見真似で良いので行なって見るとわかります。

大抵は1分もせずに肩の筋肉(三角筋)がプルプルとしんどくなってきます。

これは完全に肩甲骨が腕とつながっていない状態です。

機能的な立甲になって肩甲骨が腕とつながると面白いことにこのしんどさが軽減します。より上達すると気持ちよくさえなります。

5分も行うと腕が長くなり、肩甲骨の内側から腕が垂れ下がる状態になるのです。

実際のところ、立禅で立甲状態になっても背中側で明確に肩甲骨が立つということにはなりません。肩甲骨自体はむしろ胸の前の方に移動するので立つようには見えないでしょう。でも肩甲骨自体が下方に垂れて肩甲骨の内側が浮き上がるような特徴的に状態になります。

これまで「立甲」状態になる為のトレーニングとして「裏立甲ポジション」というやり方を考案したこともあります。某スポーツトレーナー団体のセミナーに四つんばいでの「立甲」をトレーニングした時に周りの受講生がなかなか「立甲」できずに苦戦していたので講師の目を盗んで「裏立甲ポジション」を活用したトレーニングを指導したことがあります。すると全く立つ気配のなかった肩甲骨が急に立ち始めました。

「裏立甲ポジション」は四つんばいでの「立甲」を分析して開発したのですが結局ただ四つんばいで肩甲骨が立つだけということがわかりその後はロルフィング®︎やセミナー、ワークショップでは全く行わなくなりました。

「立甲」ができても何も変わらないというのは個人的につまらないからです。

⚫︎立禅
⚫︎尺骨の抜きポジション
⚫︎橈骨の抜きポジション

を活用して再現性高く「機能的な立甲」が身につくかどうかは今後「軸トレーニング研究会クラス」などで検証してみたいと思います。

▲実はこの「立禅」の画像の手の形が「尺骨の抜きポジション」になっているのです。

でもこの手の形を真似しても肩甲骨と腕はつながりません。機能的な尺骨の抜きポジションにする必要があります。それが「セッティング」と呼んでいる手法です。

「セッティング」を行うと誰もが肩の力が抜け、肩甲骨と腕のつながりが通ってきます。「セッティング」を行うと下半身の使い方も影響を受けることがわかっています。

ただ単に立つだけの「立禅」ですが本当に効果を引き出せるのなら武道だけでなくスポーツやダンスで十分に通用するトレーニング方法だと思います。

タイトルとURLをコピーしました