はじめに
筋膜ワークの先がけとして知られるロルフィングですが近年では「筋膜」というよりも感覚系、知覚系のワークを重視するような傾向があります。
「ロルフィングのたちばな」ではこの感覚系、知覚系に加えて「認知系」のワークの研究を進めています。
「漫画を読む」「イラストをみる」という日常的に行っている認知的な行為ではありますが、身体を力ませる、固まらせるということがわかってきました。
そしてそれを解決するワークも開発しつつあります。
感覚・知覚・認知
感覚・知覚・認知の定義についてですがどうやら研究者によっても様々のようです。
ここでは、
感覚:身体の受容器が刺激を受けとり生じる神経活動
知覚:感覚を自覚し刺激の種類を意味付けすること
認知:知覚した情報を判断・解釈すること
と考えたいと思います。
認知への関心
「認知系」に関心を持ったのは音楽の身体の影響を研究していたのがきっかけです。
歌詞がなかったり、英語の歌詞では身体は影響がないのですが、日本語の歌詞だったり、日本語の朗読を聞くと身体が脱力します(日本語ネイティブの場合です)。
また、ただ「聞く」のではなく日本語を理解するように「聴く」とその効果が劇的に大きくなることを発見しました。
BGMのように無意識に「聞く」というのを【知覚】と呼ぶとするならば注意してその意味を理解しようと「聴く」というのは【認知】的活動になります。
このことから【認知】という判断や解釈を必要とする脳活動に関心を持ち、聴覚系だけでなく視覚系の影響もあるのではないかと研究を開始しました。
「力み」が積み重なる
視覚系の身体への影響を調べるためにイラスト(間違い探し)を見たりや漫画を読んだりしてみました。
すると身体の力みが出ることがわかりました。
この身体の力みの判定は、パートナーに両手首を掴んでもらった状態で「ダラ〜っ」と力を抜きます(これを「無軸モード」と呼んでいます。詳細は無軸トレーニング関係の記事を参考にして下さい)。
この力を抜いた際に身体が脱力できると「無軸モード」という状態になります。
この「無軸モード」になると自分と相手が融合するような感覚になります。このまま「無軸モード」を維持して動けるならば相手はその動きに反応できずに、力を抜かれたり崩されたりします。
繊細な感覚なので慣れないとその違いが人によってはわからないことがあるかと思います。
ですが、この繊細な感覚に気づけることは非常に重要になります。
イラストや漫画をみると途端に身体の芯が硬くなるのがよくわかります。
自分と相手の境界が明確になります。もちろんこの状態では「無軸モード」による反応は起こりません。
これは1分間イラストをみる、漫画を読むといった行為で起こります。
こうした短時間の行為では身体へのネガティブな影響はないでしょう。
ただしこれが毎日継続的に起こると話は変わってきます。
世の中にはイラストは氾濫していますし、漫画も多くの人は日常的に読んでいたりします。
継続してこうした身体の「力み」の影響を受けることによって、徐々に身体が緊張体質になっていくということはあり得る話です。
首周りが緊張する
毎週火曜日に開催している「軸トレーニング研究会」ではこのイラストや漫画をみることの身体への悪影響をなくせるワークを探求してみました。
ですが、なかなかうまくいきませんでした。
これまでのアプローチ方法を組み合わせてワークを行っていきましたが、どうしても身体が固まってしまいます。
時間が過ぎ考えうるアプローチを試していったところやっと解決策を見つけることができました。
そしてわかったことはどうやら「首周りの緊張度が高まる」ということです。
「眼を使うと肩が凝る」と言われますが確かに肩や首周りへの力みの影響が生じます。
逆に考えるとイラストや漫画を見てもこの首周りの緊張を起こさない身体にできればスポーツやダンスといったパフォーマンス能力だけでなく、事務作業などの社会人全般に恩恵があるということになります。
短期的な解決策は分かりましたが、さらに重要なことはそれがどの期間継続するかです。
効果は継続する
1週間後の「軸トレーニング研究会」で漫画を題材にして確認してみました。
すると効果は継続しています。
多少、適切に脱力でき「無軸モード」になれます。
これを体感した研究会メンバーが下記のような感想をツイートしていただきました。
何らかの参考にしていただければと思います。
身体を力ませない回路を作る
自分自身が緊張体質で緊張を改善させる脱力的アプローチを研究してきました。
・神経リンク
・無軸トレーニング
・骨力体トレーニング
の開発により緊張を解く方法はわかっているのですが、疑問に思っているのは
「なぜ身体が緊張してしまうのか?」
という点です。
スポーツでもダンスでも天才と呼ばれる人物は成長の段階でも緊張を身体に蓄積させることはありません。
この天才たちと一般人とのこの差は何によって生まれるのかがずっと疑問でした。
ですがそれが【認知】という観点を得ることによって解決し始めています。
人間は視覚系から9割入手するという説がありますが、一般人はこの視覚から情報を入手して、認知作業を行右ことで身体を力ませるのに対して、天才は身体を力ませることがないと考えると疑問の解決につながります。
そして、この視覚系の力みを起こさないことが認知系アプローチによって成人してからも身につけられるということは多くの人に役立つのではないかと思われます。
今回開発したアプローチは、イラストや漫画をみても「力み」を生じさせない回路を作るということです。
終わりに
今回開発した【認知】系アプローチは「無軸トレーニング」の中に組み入れています。
現在【認知】系アプローチは
・聴覚系
・言語系
・視覚系
を開発していますのでご興味ありましたら「無軸トレーニング」セッションをお申込みください。
現在、課題としているのは「バランス系(深部感覚系)」です。
このバランス系ですがかなり難儀しています。
バランス系の難易度が低いものと高いものでは身体への影響が大きく異なります。
難易度が高いものは今の段階ではどうやっても身体の「力み」を生じさせてしまいます。
この「力み」が解消できるのか、解消した際に日常的な動作に恩恵があるのか非常に興味があります。
何か発見がありましたらブログでご紹介したいと思います。