はじめに
「無軸トレーニング」として
・聴覚
・言語
・視覚
といった認知特性に関係がある分野のワーク(認知特性トレーニング)を開発しています。
ひとまず上記の3つの認知特性トレーニングを開発しましたので少しづつセッションで試験運用を開始しています。
前提となるのは無軸モード
ワークを開発するにあたって重視していることは「無軸モード」と読んでいる身体の状態になるかどうか、強化されるかどうかです。
「無軸モード」とは、身体の力みによって生じる「気配」が無い、もしくは少ない状態です。
具体的には「だら〜〜〜」という擬音を身体で表現することで発動します。
「無軸モード」になると他者に触れたり、触れられた状態で非常にわかりやすい感覚が出ます。
他者との境界がなくなったような、一体化したような感覚が生じます。
ちなみに、こうした感覚が起こらない場合には「無軸モード」の段階がレベル0(ゼロ)ということになります。「無軸トレーニング」を受けたことがない方は通常はレベル0です。
この「無軸モード」にもいくつかの段階がありますが、「無軸モード」を維持したまま動けるならば相手は、
・相手の力を抜く
・相手に気づかれずに崩す
・瞬間的に吹っ飛ばす
といったことが起こせるようになります。
そして、認知特性トレーニングを開発するにあたって、ワークを行うことでこの「無軸モード」が強化された場合のアプローチを認知特性トレーニングとして採用しています。
感受性を高める必要性
ちなみにこの「無軸モード」ができているかどうかを判定することは少しスキルが必要になります。
例えば「無軸モード」ができていたとしても受け側の「無軸モード」の能力が高すぎると、抵抗力を無意識的に発揮してしまうのでわかりやすい変化が出ない可能性があります。また、「無軸モード」を見逃すこともあり得ます。
なので、重要なことは少しの「無軸モード」でも察知できるように感受性を高めることです。
これは意識的に行わないと難しいかもしれません。
これはラジオの周波数のチューニングに近いものです。
特定の感度になると途端に「無軸モード」による現象を体感することができます。
コツとしては、ある意味で『意図的に「無軸モード」にかかる』という意識が重要です。
認知特性トレーニング
3つの認知特性のトレーニングの仕方は簡単に説明すると下記のようなことを行います。
・聴覚→日本語を聴く
・言語→音読する
・視覚→イラストを見る
行うことは特別なことはありません。特殊なことはこれを「無軸トレーニング」のプロトコル(手順)で行う点です。
普通に上記の行為を行うと「無軸モード」とは正反対の「力み」が生じた状態になります。
試しに「合気上げ」を上記の行為を行いながら行うと、
・【聴覚】日本語を聴く→合気上げが強くなる
・【言語】音読する→全く身体の力が入らない
・【視覚】イラストを見る→身体が固まる
といった現象が生じます。
【聴覚】のみが合気上げがやりやすくなりますが、これは「音声を聴く」という行為が受動的要素が強い為だと考えられます。
意図的に何かを行うという能動的要素が強くなると大脳皮質が活性化し、人間の身体能力的には好ましくない現象を起こしてしまうのかもしれません。
【言語】の音読は声を発するという分、何かを意図的に行うという能動的要素が強いということになります。
また、音読で力が入りづらくなるのは【文章を見る→認識する→声にする】という複雑な処理を必要とする為かもしれません。
但し、日本語話者に対しては日本語を聴くことが重要です。慣れない英語の朗読を聴いても変化はでません。
また、BGM的に聞いても効果は薄く合気上げは強くなりません。音声を理解しようと「聴く」ことで強くなります。
言語を理解するという複雑な処理が音読とは異なりこちらではプラスとなっているようです。
【視覚】の場合には眼で光を受けるということで行為的には受動的なものですが、どうやら視覚的情報は8割と言われるほど膨大で情報処理に負担がかかる為に身体に緊張を起こしてしまうのかもしれません。
一応反応の違いについて考えてみましたが、結局ケースバイケースで全く美しい説とは言えませんね😅
今後も色々と仮説を考えていきたいと思います。
発見過程
もともと自分自身が「認知特性」について興味があったこと、自分自身が聴覚系が苦手でありながら英語のリスニングを克服しなければいけない事情があったのでまず聴覚系で何か影響がないかを毎週火曜日に開催している軸トレーニング研究会で色々試したのがきっかけです。
聴覚系はすぐに開発できました。
そこから5感の視点で「味覚」「嗅覚」「視覚」「触覚」などを試してみましたがあまり面白い結果とはなりませんでした。
その後、理解・思考による力みの解消という観点で言語系を模索したところこれも開発することができました(言語系の音読を克服できると、考える必要がある複雑な動作を行う際に役立つようです)。
ところが、残りの視覚系はかなり難儀しました。
聴覚、言語で上手くいったやり方で色々な組み合わせを試しましたがことごとく上手くいきません。
「無軸モード」になるどころか、むしろ体幹が固まっていきます。相手との境界が明確になります。
身体がゆるんで相手とつながる「無軸モード」とは正反対の状態になってしまいます。
軸トレーニング研究会参加者と「ああでもない」「こうでもない」と考えていった挙句、それまで当たり前に行っていた特殊なテクニックをあえて行わないで実施してみました。
これが上手くいってしまったのです。
もうわけがわからない状態です。
まぁ、ひとまず視覚系トレーニングも開発できました。
人間のシステムは謎です。
本当、漫画「葬送のフリーレン」のエルフである主人公フリーレンのように数千年の寿命があったらこうした人間のシステムをしたいものです(人生は短い)。
認知特性の克服
この3つの認知特性トレーニングを「無軸トレーニング」セッションで実施して、「認知特性」の苦手な面が少しでも克服する事例が出てくると先につながるかなと思います(こんなアプローチする人はかなりレアだと思います)。
ゆくゆくはさらに細分化して6パターンのトレーニングなどにつなげていければと思います。得意な認知を伸ばして、苦手な認知を少しでも改善できればといった感じです。
自分の場合、聴覚系が大の苦手なのですが認知特性トレーニングによって、聴覚系に意識が自然に行くという手応えを感じています。
但し、ワーキングメモリー(作業記憶)は増えないので聴覚に意識がいくと、これまで意識がいっていた視覚系が不注意になるなどの影響を実感しています。
感覚系が選択できるという点でメリットの方が大きい気がします。
「ワーキングメモリーの増設」や「各種の感覚系による認知をバランスよく統合できる方法」の発見が目下の課題ですね。
終わりに
「無軸トレーニング」は人間の能力を開花させる可能性を強く感じています。
「考えすぎて身体を緊張させてしまう」ケースでは今回の認知特性トレーニングはかなり役立つと思います。
今回ご紹介した認知特性トレーニングは「無軸トレーニング」に取り入れているので少しでもご興味ありましたら「無軸トレーニング」を受けてみて下さい。