はじめに
「ロルフィングのたちばな」では「骨力体」というメニューを提供しています。
骨力体とは、骨を使うことを目的としたセッションで、マッサージガンによる施術とエクササイズを組み合わせて行います。
現在ではレベル1〜11まであります(各レベルごとに「18セッション」必要なのでまずはレベル1を完遂することをお勧めします)。
日本武術やダンスの世界では「骨を使う」という概念があり非常に重要視されています。ですが、重要視されているのにも関わらず骨を使えるようになるトレーニング方法がありません。
実際には「骨を使えるようになる」ことをコンセプトとするメソッドがないわけではないのですが、そのトレーニング効果の再現性が高くありません。つまり、身につけることは難しいということです。
個人的にもこれまでそうしたメソッドを継続して学んでいましたがなかなか骨を使えるようにはなれない経験をしてきました。
そうした最中にマッサージガンのハイパーボルトプラスを知ることになり、それをきっかけとして骨を効率的に使えるようになるメソッドを開発することができました。
それが「骨力体」になります。
「骨力体」は効果を実感するまでに数年単位で学ぶ必要はありません(大抵の身体系メソッドは効果を実感するのに数年を要する。数年で身につけることができればかなり良い方で多くは20年学んでも全く身につけることができない事例は数多く存在します)。
「骨力体」はセッションを受けた回数に比例して確実に身体が変わります。
レベル3:重心移動
レベル1〜3は▼のようにセッションテーマ(番号の横)が設定されています。
レベル1:ベース1
①鎖骨
②股関節A
③肩甲骨
④股関節B
⑤脊柱A
⑥脊柱B
レベル2:ベース2
①脛骨
②脊柱C
③腓骨
④脊柱D
⑤足指
⑥股関節の抜きポジション
レベル3:重心移動
①←→:左右
②↑↓:前後
③⚪︎
④♾
⑤うつぶせ
⑥仰向け
レベル1と2でベースを作り、レベル3で1、2で作ってきたベースを活かす為の「重心移動」を身につけていきます。
「重心移動」はスポーツでもダンスでもその重要性に反してかなり軽視されている概念です。
ですが、トップレベルのパフォーマンスを身につける為にはこの「重心移動」が必須になります。
多くの人は重心移動ができていません。
重心移動ができないと重心移動ができる状態とはどういった状態なのか認識もできないのでその重要性にも気づきません。
重要性に気づかなければ改めて改善しようと思うことができないので、そのままでは重心移動が身につかないまま一生を過ごすことになります。
逆に重心移動を身につけることによってあらゆる身体運用が変わります。
これが凡人と天才の身体能力の差となっているのです。
個人的には重心移動に対して、重心移動ができていない状態を体重移動と呼んでいます。
イメージで表現すると重心移動はボールを転がすようにスムーズな動きなのに対して、体重移動はゴツゴツとした石を転がすようなものです。
なので体重移動による身体操作では力んだり、踏ん張ったり、体幹を無駄に固定したりといったことにつながります。
体重移動をしていた人が重心移動の世界に入るとそれまでいくら練習をしてもできなかった動作があっけなくできるようになったりします。
ストリートダンスなどは典型的です。
重心移動ができるだけであっけなくあらゆる動きができるようになってしまいます。
また、歩く・走るといった動作では直接的な恩恵があります。
体重移動の身体操作ではその場に身体を居続けようとする無意識の反応(日本武術ではこの反応を「居着き」と呼びます)が起こっています。
前に進もうとしても居着きによって身体はその場にとどまろうとするので、腰が後ろに引けたり、頭が後ろに引けたりといった反応が起こります。
その結果、前になかなか進まない、前に進みづらいといった感覚になります。
逆に重心移動の身体操作になり居着きが無くなるとまるでセグウェイに乗ったように少し身体を傾けただけでスムーズに歩けるようになります。
一歩のストライドも自然に長くなります。
面白いのは体重移動の歩きを見慣れるとこの重心移動での歩きが認識しづらくなります。
なので客観的にその歩きをみると地面が縮んでいるように見えるのです。
「縮地」という身体操作が「るろうに剣心」でありましたが、直感として「縮地」と感じる現象となります。
「重力との調和」
現在多くの方に「骨力体」のセッションを受けていただいていますがその中にロルフィングの姉妹系のメソッドを生業とされている方が居られます。
元々ロルフィングから派生したメソッドで、基本的にはロルフィングと同じなのですが商標登録の関係でロルフィングは名乗れないのでロルフ・メソッドと名乗ることが多いようです。
その方が現在「骨力体」のレベル3:重心移動を受けている最中で、【テーマ②の↑↓(前後)】の1回目のセッションが終わり身体を確認していただいた時に、
『これはロルフィングでは無理ですね。。。』
とのご感想をいただきました。
これは嬉しくもあり、微妙でもあります😅
ロルフィングのコンセプトとは「重力との調和」です。
実は重心移動の身体操作とは「重力との調和」そのものなのです。
なので、骨力体の重心移動で身につける状態というのはロルフィングそのものだというのが個人的な考えです。
姉妹メソッドにはありませんが、ロルフィングには施術をメインとするロルフィングに加えて、身体の動作に焦点を絞った「ロルフ・ムーブメント」というメソッドがあります。
あえて「ロルフ・ムーブメント」とは名乗っていませんが「骨力体」のセッションはロルフ・ムーブメントと呼び変えることが可能です(ロルフ・ムーブメントのプラクティショナーの認定を受けています)。
こうした意味合いでもこの成果はロルフィングの範疇でしょう。
ですが、こうした言い方をするとロルフィング関係者からあまりよく思われないのですが、既存のロルフィングではこの成果を出すことは不可能でしょう。
何故なら、現在のロルフィング界ではここまで「重力との調和」を探求し続けている人はいないからです。
この成果はロルフィングを学ぶ以前から探求してきた結果になります。そもそもロルフィングを身につけようとしたのも「重力との調和」の理解を深める為でロルフィングを学ぼうとする10年ほど前からずっと探求してきたことでした。
以前、日本ロルフィング協会の理事をしていた時、「重力との調和」を深める為に勉強会を開催していました。
自分自身の動機としては、参加メンバーそれぞれが試行錯誤して「重力との調和」を深めたい、1人では無理でも多人数なら探求が大きく進むのではないかと思っていたからでした。
ですが、参加したメンバーの多くは
「完成した内容を知りたい」
「ロルフィングの先生から習った内容を知りたい」
というような自分達で試行錯誤し新しい知見を発見するという意欲はほとんど感じず、ただただ既存の知識を入手したいという人がほとんどでした。
勉強会の名目はロルフィングの創始者であるアイダ・ロルフの生誕日の前後でロルフィングdayとして探求した内容をワークショップとしてアウトプットすることを目的としていたのですがそれは成功しませんでした。
結局はアイダ・ロルフが亡くなってからのロルフィングは進化が止まった状態だと個人的には考えています。
そういった意味でロルフィングを知っているクライアントさんから「ロルフィングでは無理ですね」と言っていただけたことは本当に嬉しいことですね😁
発展しない問題
よく誤解されているのですがワークショップを受けても発展させようとしなければそのメソッドの進化はありません。
ロルフィング界ではオステオパシーのテクニックを学んで借用するのが一般的になっていますが、そもそも身体教育を旨とするロルフィングと治療を旨とするオステオパシーでは目的が明確に異なります。
なのでどんなに熱心にテクニックを学んでもそれをロルフィングに統合させる意図や工夫がなければテクニックのコレクター以上にはなりません。
これはロルフィングだけではないのですが多くのボディワークや身体系メソッドでは創始者が亡くなると進化がそこでストップしてしまう問題を抱えています。
周りを見ても創始者が亡くなっているのに10年以上経過しているのに創始者が生きていた当時と同じことを行っている身体系メソッドが多くあります。
なら、その身体系メソッドではあらゆる問題が解決できるのかといえば、全く不十分だったりするのです。
終わりに
日本ロルフィング協会でやりたかったことは現在ほぼ毎週開催している「軸トレ研究会」で実現できています。
「軸トレ研究会」ではどなたでも参加でき、参加者各々が興味ある事柄やアイディアを持ち寄って探求しています。
劇的に人間のシステムがわかるようになった「 4つの支持軸理論」もこの「軸トレ研究会」があったからこそここまで発展させることができました。
確実に1人では無理だったでしょう。可能だったとしても今の段階に到達するのに10年は遅れていたのではないでしょうか?
「 4つの支持軸理論」があることによって現在では、他のメソッドを分析することができるようになったので論理的にロルフィングや軸トレーニングに取り入れることができるようになりました。
理論があることによって「テクニックのコレクターになる」という罠にハマらないようになりますね。
今後も「ロルフィングのたちばな」は探求を継続していくので、ロルフィングを学ばれた今回のクライアントさんのようにロルフィングを知っている人ほど感動や驚嘆してもらえるワークになっていくと思います。
「骨力体」もだまレベル3なのでまだまだ序盤です。
レベル4以降はもっと凄いことになります👍
時間もお金もかかることなのでどこまで進まれるクライアントさんがいるかは不明ですが、トップレベルを目指したいという要望を満たす為に今後も「骨力体」のレベル開発を進めていきますね😁
ちなみに今年の1月に集中して骨力体レベル4(計72セッション)まで受けられたクライアントさんは、世界でも最も短期間で身体が変わった大賞にノミネートするぐらい劇的な変化がありましたよ‼︎