「ロルフィング®︎のたちばな」では現在「4つの支持軸理論」を提唱しています。
4つの支持軸とは、
①内側軸(1軸):日本人の軸感覚
②中間内軸(2軸):白人、多くのアジア人の軸感覚
③中間外軸(3軸):ラテン系の軸感覚
④外側軸(4軸):黒人の軸感覚
があります。
この4つは脳神経系の運動プログラムが明確に異なり、それぞれ特徴があらわれます。
それぞれの支持軸は、▼画像の足裏の同じ番号のラインに体重を乗せる使い方をします。
また、▼のように各支持軸では同じ番号の水平ラインより下の部位が可動しやすくなります。
これらは脳神経系の運動プログラムによってそのようになるので支持軸自体をスイッチしない限り、どのように努力しても変えることはできません。
現在のスポーツ業界的には体幹をなんとか動かそうとする動作トレーニングが流行しているように感じますが、4つの支持軸を無視するとせっかく体幹が自由に動くようになったけども、スポーツやダンスのパフォーマンスはむしろ低下するという結果になることがあります。
今回はこのあたりについて説明したいと思います。
体幹を意図的に動かすという観点は4つの支持軸で言うと2〜4軸には当てはまります。
中間内軸(2軸)の特徴
⚫︎みぞおちから身体を捻る動作を起点とすること(捻りによる「体幹主導末端操作」)で
機能が発揮される。
⚫︎四肢の筋力出力が4つの支持軸の中で最も高い(同じ筋肉量でも筋力が1番発揮しやすい)。
⚫︎ウェイトトレーニングに向いている
⚫︎ダンスの身体を分割して動かすアイソレーションに向いている
▼中間内軸(2軸)を使ったボクシング
両足の間に重心を置くことで体幹の捻りを使いやすくしてパンチ力が高めています。印象としてはパンチ一発一発の迫力があります。
中間外軸(3軸)の特徴
⚫︎体幹の屈曲・伸展動作を起点にすること(屈曲・伸展による「体幹主導末端操作」)
で機能が発揮される。
⚫︎体幹の筋出力が4つの支持軸の中で最も高い。
⚫︎四肢の筋出力が4つの支持軸の中で最も弱い。
⚫︎支持基底面内限定で自由に重心を動かせる。
⚫︎体幹のコントロールが最もしやすい
⚫︎ダンスのインターロックエクササイズに最も向いている
▼中間外軸(3軸)を使ったボクシング
支持基底面内で自由に重心を使うことができるのでパンチの回転数が高くなります。但し、その分腕の筋力発揮がしにくくなるので2軸と比較するとパンチ力は低下します。
4つの支持軸の中で最もプレイする姿が華麗になるので大抵、このプレイスタイルに憧れるアスリートが多い印象です。
外側軸(4軸)の特徴
⚫︎体幹の側屈動作を起点とすること(側屈の「体幹主導末端操作」)
で機能が発揮される。
⚫︎移動する際に4つの支持軸の中で体幹の筋力が最大に発揮される。
⚫︎静止状態では体幹の筋力発揮は4つの支持軸の中で最弱になる。
⚫︎4つの支持軸の中でも最も重心移動がしやすい。
⚫︎動作のリズムで、自然に「&」カウントが表れる(バネ要素が発達する)。
▼外側軸(4軸)を使ったボクシング①
足裏の4軸のラインの踏み替えを上手く活用しています。重心が左右に移動しているので対面するとなかなか見えづらいので捉えづらくなります。
▼外側軸(4軸)を使ったボクシング②
前足の足裏の4軸のラインに乗ったまま対応しています。体幹の側屈動作によってより4軸ラインに乗り相手の空間把握感覚を乱しているように感じます。これは足裏の4軸ラインに乗ろうとしても4軸以外の支持軸では再現できません。脳神経系の運動プログラムによるからです。
2〜4軸の場合は体幹の可動性を意図的に、直接的に引き出す動作トレーニングは役立ちます。もちろん、最大限のトレーニング効果を上げるには、体幹の「捻り」「屈曲・伸展」「側屈」など運動方向を考慮する必要がありますが。
これが日本人の内側軸(1軸)だと話が全く変わるのです。
内側軸(1軸)の特徴
⚫︎手足といった末端部分を起点にすること(「末端主導体幹操作」)
で機能が発揮される。
⚫︎手足が起点となり動きだすと体幹は素直に手足の動きに従う。
⚫︎体幹から動こうとするとその場に止まろうとする居着き反応(力み)が生じる。
⚫︎4つの支持軸の中で最も手足と体幹がつながりやすい。
▼内側軸(1軸)を使った突き(体当たり)
ボクシングの適切なパンチシーンが見つからなかったので「末端主導体幹操作」を使った突きを紹介します。手に重心移動による運動量が伝わるので威力がでます。
これはあくまでも手に体幹がひっぱられて回旋運動が起こった結果です。能動的に2軸のように体幹の回旋を起点にすると重心移動を相殺してしまう身体の反応が起こってしまうのでこのような威力がでません。
西洋由来のスポーツはほぼ全て体幹を起点とした技術体系をしています。
なぜ日本人がスポーツで苦戦するかと言えば、その競技に適した支持軸を使っていない為です。
日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」を使う場合には技術体系自体をそれように開発する必要があります。
日本人は体幹を自由に動かすことに憧れをもっている印象がありますが、ただ単に体幹が動いても「内側軸(1軸)」かつ「体幹主導末端操作」で身体を扱う限り、全く機能しません。
逆に「内側軸(1軸)」かつ「末端主導体幹操作」で身体を扱うと体幹が劇的にゆるみ自然に自由に使えるようになります。
個人的に4つの支持軸を活用したそれぼれのトレーニングで身体の開発を探求していますが、「内側軸(1軸)」かつ「末端主導体幹操作」の組み合わせでトレーニングを行うと体幹部の開発が最も進むのを実感しています。
2〜4軸かつ直接的に体幹を動かす「体幹主導末端操作」を組み合わせたトレーニングよりも効果は高いです。
僕自身の民族的に「内側軸(1軸)」が適しているということもありますが、「末端主導体幹操作」を行うと“受動的”に体幹にアプローチすることになるので、この【受動性】が大きなキーワードとなりそうです。
体幹操作系のメソッドは2000代に多く生まれており、現在でも根強い人気がありますがその人気に比べて効果が上がっていない理由としては、自身の支持軸とその使用方法が合っていない為です。
現在ではSNSの発達によってインスタ映えするようなトレーニングが気軽に目につくようになりましたが、そのトレーニングの派手さと効果は比例しないことが多々あります。
各支持軸の特徴を理解してトレーニングをする必要があります。
現在では「4つの支持軸理論」を実践しているのは「ロルフィング®︎のたちばな」とクライアントさんのみですが、おそらく10年、20年と時間が経つとスポーツやダンス、スポーツ理論でのスタンダードになっていると思われます。
現在僕が主張していることに間違いは当然あるでしょうが、「4つの支持軸理論」の根幹はどのような手段を講じても否定できないほど明確なものです。