現在、「4つの支持軸理論」を元にしてロルフィング®︎や軸トレーニングを提供しています。
今回は筋膜リリースやボーエン・テクニックに有効な支持軸について説明してみようと思います。
筋膜リリース
筋膜リリースとは俗称で、一定の圧を加えた上体でストロークするようなテクニックを全般を指します。クラシカルなロルフィング®︎やロルフィング®︎を元にしたアナトミー・トレインなど「筋膜」を施術の対象にしているテクニックです。
ボーエン・テクニック
ボーエン・テクニックとは僕もプラクティショナーの認定を受けていますが、筋膜に刺激を与えて見守る時間の中で受け手の反応によって身体を整えるテクニック。擦るような刺激を与えるのが特徴の1つです。
筋膜リリース、ボーエン・テクニックともに学ぶ際によくある傾向が、一定の圧を加える必要があるのにストロークなど動かすにしたがって圧が弱くなっていってしまうということです。
一定の圧を加えることによって筋膜に存在するとされる「機械受容器」という身体のセンサーに適切な刺激を与えることができます。この「機会受容器」が反応することによって脳に刺激が伝達されて筋肉やその他の生理学的影響が身体に起こるということが、こうした施術が効果を産むメカニズムです。
それが圧が弱くなると適切な刺激を機械受容器に与えることができなくなります。
よく学ぶ現場では、
『力を抜いて』
と指摘されることが多いですが実際に経験された方はわかると思いますが、これで問題が解決することはほぼありません。圧を加える力も弱くなってしまったりしてしまいます。そもそも意識して肩まわりの力が抜けるレベルの身体を持っているならば初めから上手くできているでしょう。
筋膜リリースでは結局圧を一定にしようとする意識が強くなり、肩肘の力みを強くして強引に行うことになります。これでも当然上手くいきません。
ボーエン・テクニックでは身体の特定の部位を的確に刺激を与える必要がありますから筋膜リリースよりも難易度は上がります。
自分自身、ボーエン・テクニックで受け手として一緒に学ぶ受講生が苦労しているのを見てきました。
ロルフィング®︎では半年(180日間)の集中的なトレーニングでこの一定の圧を加える方法を身体に染み込ませます。
それが1日から数日のセミナーで筋膜リリースなどを学ばれた方はその経験が圧倒的に少ないので強引なやり方にならざる負えないという現状があるようです。ボーエン・テクニックも10数日の研修です。
僕自身がロルフィング®︎のセッションにおいて筋膜リリース(ほとんど使う機会は無いですが)やボーエン・テクニックを行う際には「4つの支持軸」で言えば「中間外軸(3軸)」を活用しています。
「中間外軸(3軸)」は四肢と体幹の分離が自然に進み、腕の力みが自然に抜けるという特徴があり、受け手の自然な反応を引き出すのと相性が非常に良いからです。
先日、ボーエン・テクニックを学ばれている方の実技対策のセッションを行った際にもこの「中間外軸(3軸)」を活用する方法をお伝えしました。
但し、今冷静に考えるとボーエン・テクニックもまずは「中間内軸(2軸)」で行った方がやり易いということに気が付きました。
「中間内軸(2軸)」の1番の特徴としては肩まわりを力ませることなく筋力の出力が高まるということです。
学び始めは脱力など細かい点は無視して一定の圧を加えることに専念した方がよいですね。
日本人の軸感覚である「内側軸(1軸)」の施術に大きなマイナスになる特徴はなんといっても筋力を使う際に肩肘の力みがでやすいという点です。
現代の日本人はこの「内側軸(1軸)」も適切に使えることができないので更に力みが入りやすくなっています。
そうした状況で「脱力」や「一定の圧を加える」ということを意識してもなかなか行えません。そもそも「内側軸(1軸)」は受動的に身体を使うことで機能を発揮しますから「意識的な行為」をすることで機能を発揮させづらくしてパフォーマンスを低下させる要因となります。
そうしたことからまずは肩の力みを発生させずに筋力を利用する感覚を掴む目的で「中間内軸(2軸)」を筋膜リリースやボーエン・テクニックに活用するのがよいのではないかと思います。
「4つの支持軸」と文化は大きく関係しています。
ロルフィング®︎はアメリカのアイダ・ロルフ、ボーエン・テクニックはオーリスラリアのトム・ボーエンが開発しており、筋膜を対象としたオステオパシーもアメリカで生まれています
この3つに共通しているのは開発者が共に「中間内軸(2軸)」タイプの文化圏であり、人種であるという点です。
こうした歴史や文化と「4つの支持軸」の特徴を考慮すると施術においても最大のパフォーマンスを発揮させることにつながります。